第3話 混乱する世界



 A.M. ―07:45。



 「……ん……」


 静かな目覚めで朝を迎える。視界に広がるのは、小窓から白い陽光が差し込む木造の一室。俺はそこのベッドの中にいた。

 

 「ここは……? あっ」

 

 どうして自分はここにいるのか。ぼんやりと辺りに視線を送りながら記憶を辿っていた俺は、瞬間的に昨晩の出来事を思い出して、咄嗟に胸や腹に手を当てた。エルヴィスの強烈な一撃を受けて、生死の境を彷徨さまようほどの大怪我をそこに負ったはずだ。そのことを想起し、恐る恐るさすって確かめてみるが、体のどこにも異常は感じられないし、そもそも痛みや息苦しさが無くなっていることに今さら気付いた。

 

 「……あれ? どういうことだ……痛くない? というか、怪我が治って……」

 「ああっ!」

 

 上体を起こして全身を手探りで確かめていた時である。部屋のドアが開き、そこから盆を抱えたロリエッテが現れた。そして、起き上がっている俺を見て、彼女は驚きの声を上げる。

 

 「よかった! お目覚めになられたんですね!」

 

 それも束の間、盆の上にある水差しとコップを倒さない程度の駆け足で、彼女は俺の隣まで近寄ってきた。

 

 「ロリエッテ……どうしてお前が? ここは……」

 「ここはツリーアレストにある診療所の病室です。エリオン様は瀕死の重傷でこの施設に運ばれたんですよ」

 「……そうか。ということは、俺に怪我が無いのは……」

 「はい。私が治療しました。エリオン様との連絡を終えたその後……ナナルル村跡地で夜が明けるのを待っていると、急に大きな音と地鳴りが森の向こうから響いて。しかも、それがツリーアレストの方角からだったので、村に何かあったのではないか、と私たちは夜間進行を決定したのです。そうしてツリーアレストに辿り着いてみると、崩落した村の施設の残骸と、グチャグチャになった地面の上に倒れているエリオン様たちの姿があって……」

 「……なるほどな。それで、ここにいるってわけか」

 「はい……この村で起こったことは、ミーティア村長から教えてもらいました。まさか、ヴェラミントさんが……」

 「ああ……で、お前がここにいる、ということは……」

 「……はい。アルフォードさんたちもいます。今は村の中央広場でミーティア村長と、今回の件と、今後についての話をしている最中かと」

 「そうか……だったら、俺もそこに行こう」

 

 毛布を剥がし、俺はベッドの横に並べられた自分のブーツへ足を通していく。

 

 「こ、これからですか? そんなっ! 私の処置がもう少し遅かったら取り返しのつかない事になっていたくらいの重傷だったんですよ?! 確かに怪我は完治していますが、せめて今日一日は安静に……」

 「別に話し合いに参加するだけだから大丈夫だ。なにより、今はジッとしていられねえ……!」

 「エリオン様……」

 

 シーツの上に置いた拳が怒りで震える。その矛先は、俺をおとしいれ、まんまとエルステイン制圧を成し遂げたエルヴィスたちに対してだけじゃない。去り際のヴェラの涙。そして、連れ去らわれていくアリエル……そんな2人を、どうしようもできずに見ているだけだった自分への不甲斐ふがいなさも含まれていた。

 

 今すぐにでも叫び出したいほどの激情と葛藤が胸の内で暴れている。こんな状態でベッドに横になったところで眠れるわけがない。だったら、少しでも時間を有意義に使うべきだ。

 そのような俺の心情を感じ取ったのだろう。間も無く、ロリエッテは小さく嘆息たんそくすると、水差しの水をコップに注ぎながら言った。

 

 「……分かりました。でしたら、せめて私を同行させてください。そして、もし、体調に異変を来したらすぐにこの部屋に戻ってもらいます。いいですね?」

 

 そして、そのコップを俺に差し出してくる。俺は「ああ」と頷きながら、そのコップを受け取り、水を一気に飲み干した。

 


 

 

 

 診療所には昨晩、エルヴィスに挑んだ冒険者たちがたくさん入院していた。まあ、そのほとんどがすでに治療を終えているようだったが。恐らく、彼らもロリエッテによって助けられたのだろう。

 だが、生々しい傷跡や欠損した腕や足など、ロリエッテの力を以てしても消せない戦闘の後遺症がそこかしこにあって、施設内はどこも暗い雰囲気に満たされていた。

 

 個室から出た後、忙しなく走り回る看護婦たちの足音だけが響く陰鬱な廊下を黙って歩き、俺たちは診療所を後にする。そうして、腹立たしいほどに爽やかな陽光を浴びながら、樹上に築かれた道を並んで歩き出した。

 

 「そういえばイッシンはどうした?」

 

 村長宅へ向かう道すがら、診療所から引き摺る気怠けだるい空気を変えるために、俺はロリエッテに話を振った。


 「とうの昔に退院されてますよ。イッシンさんはエリオン様よりも怪我の具合が軽かったので。ですが、村長との会議には参加せず、どこかに向かわれました」

 「なに? あいつまさか、1人でエルヴィスの許へ……」

 「あ、いえ……とてもそのようには。ただ、しばらく1人にしてくれ、と言って……」

 「……そうか。無理もねえな……パーティメンバーとして。冒険者の育ての親として信頼し、慕ってた人物がずっと自分を騙してたんだから……気持ちの整理を付ける時間が必要か。しばらくそっとしておいてやろう」

 「そうですね……」

 

 話しながら道なりに進んでいると、やがて視界の先に、ミーティア村長らしき茶色い毛並みの背中が見えてくる。

 そこは、複数のタイタン・フットから無数に伸びる網で固定された空中広場。以前、アリエルたちとの共同クエストでこの村を訪れた際、ベンたちが操るクリスたちによって最初に連れられた発着場だ。

 その場には、ミーティア村長の他にベンら村人と、クロサムたち冒険者の集団。そして、アルフォードたち夜明けの鷹の面々が集まっていた。

 

 「あっ、エリオンさん! もうお体は大丈夫なんですか?」

 

 会議の様子を見守るギャラリーたちの間を強引に進み、俺たちは吊り橋を渡って発着場へと踏み込む。それに最初に気付いたのはベンだった。さらに、その声に導かれて、他の連中もこっちに顔を向けてくる。まあ、アルフォードたちは逆に舌打ちしながら顔を逸らしていたが。

 

 「目覚めたか、エリオン=アズロードよ。ちょうどいいタイミングだ。貴公もぜひ、会議に参加してくれ」

 「ああ、もちろん。そのために来たんだ。それで、今はどういう状況になってるんですか? エルヴィスたちの目的は? 50年前の魔法陣を今さら引っ張り出してエルステインを制圧して、あいつらは何をしようとしているんですか?」

 

 ミーティア村長の言葉を遮らん勢いで俺は矢継ぎ早に問い質した。それに対し、ミーティア村長は「まあ、とにかくこれを聞きなさい」と、俺たちを会議の輪に促してくる。その意図を掴めないまま、とりあえずミーティア村長の指示通りに大人しく会議に加わることにした。


 発着場に輪状になって並ぶ大勢の人々。その中心にあるのは一台の通信機材と、それを操作する1人の男である。皆は、話もせずにそれを一途に見つめていた。


 一体、これは何の集まりなのだろうか。疑問に思ってそれを村長に問いかけようとした時、ノイズ混じりの音声がそれから上がった。

 

 

 【――んざい、我々はグレートヘヴン近海までやってきています! 目視ですが、エルステインを覆う鳥かごのような魔法壁が確かに見えます! あれが、あの大魔法使い、セレナーデ=エルシオンが構築したと言われる魔法陣、ヘラクレイオン! かつて第一次魔物侵攻から人々を守った偉人の遺産が今、我々に牙を剥いているとはなんという皮肉でしょう! 果たしてこれを攻略する術はあるのでしょうか?!】

 【ヘラクレイオンの中にはメロリアンレースのために世界各国から集まった政府要人や、ブルーシャルネットを始めとする大企業のトップが囚われています! 彼らは大量のアンデッドたちに包囲されており、それを指揮する犯行グループは彼らを人質に国際グレートヘヴン開発機関、通称IDGOとの交渉を進めると見られています!】

 【犯行グループにはなんと、ブルーシャルネットの私設軍であるヴァルハンも含まれているようです! しかも、首謀者の中にはロングベルト家の御曹司である、ヴァイス=ロングベルトがいる、との情報まで寄せられています! この件について、ブルーシャルネットに取材を申し込みましたが、現在、事実確認に努めています、と返ってくるだけで未だに明確な発表は出されていません!】

 【昨晩、各国政府機関と各メディアに犯人グループと思われる人物から、エルステインを制圧した、というむねの通報がありました。そして、IDGOには、今回のエルステイン制圧事件の首謀者と思われるベンジャミン=クロシェイドからの犯行声明が寄せられた、ということが関係者への取材で分かりました】

 【犯人たちの要求は、エルステインを独立国家として認めること。ベンジャミン=クロシェイドは、その国王になることを希望しているようです! さらに、世界各国や各企業・団体が拠出きょしゅつし、国際グレートヘヴン開発機関にプールされている積立金、約32億ジエルの譲渡も要求しています! もし、この要求が受け入れられなかった場合、国際情勢に特に影響力を持つ人間から順に殺していく、と明言しているようです!】

 【えー、こちらはグランドブレスにある国際連合本部前です。二時間前、IDGOが国連に連合軍の派遣を要請した、という発表がありました! もうすぐ、それについての緊急会議が行われるとのことです!】

 【はい! こちらはIDGO、国際グレートヘヴン開発機関の本部前! 門前には、クーデターに屈するな。絶対に身代金を払うな、と主張する国内外からの市民団体の抗議運動が起こっています! エルステインが制圧される、という前代未聞の大事件。果たして、IDGOは要求を受け入れるのか。それとも強硬策に打って出るのか。理事会の決定に全世界の注目が集まっています!】


 

 ――などなど、男がツマミを捻る度に、通信機材からは様々な声の報道が流れてくる。

 そこまで聞いて、男にスイッチを切るように命じたミーティア村長は、俺に視線を落とした。

 

 「これは捜索隊に与えられた通信機材だ。ギルドからの交信が途絶えた今、アンテナの受信感度を高め、この島の周囲に来ている報道陣の船や、ゴールドピースの通信をなんとか傍受ぼうじゅしているのだ」

 「……そうか、だからみんなしてコレを……それにしても、エルステインを独立国家に認めろ、だって?」

 「うむ。どうやらそれが連中の目的のようだ。その上、国際グレートヘヴン開発機関の積立金までも寄こせ、と来た。その金はグレートヘヴンのために使われるものなのだから、我々が受け取って当然だ、などという無茶苦茶な理屈を立ててな」

 

 はっ。エルステインを制圧して島に来た上流階級の連中を人質にし、その挙句にエルステインの独立と莫大な身代金の要求かよ。やることなすこと大胆が過ぎる。むしろ清々せいせいするくらいだぜ。

 

 「しかし、連中の要求を無碍むげにすることはできない。実際、すでに世界各地では小規模ながら紛争が発生している」

 「え? なんでそんなことが……」

 「メロリアンレースのゲストとして来島し、そうしてエルステインに囚われた人質の中には、独裁国家の大統領や国王もいるのだ。今回の事態を受けて、圧制や一党独裁を批判する反乱軍や王政反対派、あるいは対立国家などの勢力が暴れ出しているのだよ」

 「そうか……トップがいない今がそいつらのチャンスなのか。あっ、じゃあ、さっきの報道であった影響力を持つ人間から殺していく、ってのは……」

 「まさしくそれだ。もし、これで独裁者の死亡が明らかになれば、そうした武装闘争はより過激になっていくだろう。延いては、世界大戦の引き金となりかねん」

 「じゃあ、エルヴィスたちの要求を呑むしかない、ってことか?」

 「うむ……実際、国際社会でも、人質を取られた側の国家が宥和策を、取られていない国家が強硬策を主張している状態だ。これからの国際会議でも、その二つの派閥が対立して解決策は生まれまい。そうなると、決議はよりリスクが少ない方へ……すなわち、宥和策へと傾くことになる。人命優先、という燦然さんぜんとした大義名分がそこにはあるし、上流階級の人々を失った時に生じる全世界的規模の混乱の責任を取らなくて済むからな」

 「くそっ……ここに来ても保身かよ……!」

 「……あの、この魔法陣はどうにかできないんですか? 人質さえ解放することができれば……」

 

 悔しがる俺の代わりに、ロリエッテがミーティア村長との会話を引き継ぐ。そうして頼りない声で提案する彼女に、ミーティア村長は緩く首を左右に振って応えた。

 

 「残念ながら、それは難しいだろう。このヘラクレイオンという魔法陣はあらゆる攻撃を無効化する。しかも、厄介なのが周辺に発生する霧だ」


 「霧?」と俺。


 「うむ……大まかに言うと、魔法陣というのは術者が発動するタイプと、地面に設置するタイプの二種類に分けられる。そのうち、ヘラクレイオンは後者に当たるのだが……設置型の魔法陣には明確な弱点がある。それが、陣を構成する媒体ばいたいだ」

 「媒体?」

 「そうだ。設置型の魔法陣は、術者がそこから離れても効果を持続できるように、その魔法の象徴となるアイテムを媒体として配置する。実際、《ウィッチ》・セレナーデは自身の手紙を媒体とし、それをメロリアンが各地に運ぶことで魔法陣を成立させたのだからな」

 「ああ、イッシンもそんなこと言ってたな……なるほどな。つまり、その媒体ってヤツを破壊すれば魔法陣を消すことができるんですね!」

 「しかり。しかし、そううまく事が運ばないのがあの大魔法陣だ」

 

 魔法陣の打開策を見つけて快哉を上げる俺に対し、ミーティア村長はまたもや首を横に振った。

 

 「ヘラクレイオンの周囲に発生した霧。あれは、生物の方向感覚を狂わせる効果を持つ。一度ひとたび、足を踏み入れれば、途端に自分の居場所を見失い、真っ直ぐに進んでいるつもりでも霧の外に出てしまうようになっているのだ」

 「なんだって?! それじゃあ媒体がある場所には近づけない、ってことか?!」

 「その通り。まっこと、魔女の周到しゅうとうな事よ。襲来する魔物によって媒体が破壊される事態を防ぐために、そのような対応策を魔法陣に仕込んでいたのだ。押し寄せる魔物の群れは霧の中で彷徨さまよい、さりとて空からも侵入できず、結局、エルステインを滅ぼすことは叶わなかった」

 「それが今……エルステインの解放を邪魔してる、ってのかよ……なんとかならないんですか?!」

 「うむ……一応、この村にいる部隊をエルステインへと向かわせたのだが……」


 

 【こちらルーイ班! こちらルーイ班! 聞こえますか?!】

 

 

 その時、通信機材からメディアのものとは違う、男性の切羽詰まった声が聞こえてきた。

 

 「おお……ちょうどいいタイミングだな。取りなさい」

 

 俺たちとの会話を中断し、ミーティア村長が通信機材の傍にいる男に言う。彼は頷いた後、その受話器を取って自身の口に持っていった。

 

 「こちらツリーアレスト。どうした?」

 

 【現地調査の結果、やはり陸路でのエルステイン突破は不可能の模様! 魔法陣を構成する媒体を見つけ出すこともできませんでした! それだけでなく、アンデッドからの襲撃を受けています!】

 

 「アンデッドだと?」

 

 【そうです! 霧の中から現れたアンデッドによって調査を妨害されています! 被害に遭った者はいませんが、あまりに数が多く、これ以上の調査の継続は困難! 帰還の許可をお願いします!】

 

 「村長……」

 

 男は受話器を一旦、顔から離し、ミーティア村長に視線を投げかける。それに村長は深く頷いて応え、彼もまた首肯してから再び受話器を口元にかざした。

 

 「了解。ただちにツリーアレストに帰還せよ」

 

 【了解しました!】

 

 そして、その返答を最後に、男性との通話はプツリと途切れた。

 

 それからまた、通信機材は同じような内容の報道を流し始める。その雑音をバックグラウンドにしながら、ミーティア村長はいぶかしげに眉根を寄せた。

 

 「アンデッドから襲撃を受けた……? つまり、アンデッドは人間たちの居場所が分かっている……まさか、ヤツらは霧の効果を受けていないのか……?」

 

 ブツブツと独白し、やがて彼は大きな手をバチン! と打ち鳴らした。

 

 「そうか……! あの霧は生物にのみ効果を発揮する魔法陣。そのため、アンデッドには意味を成さなかったのか!」

 

 そうして口にした彼の見解に、俺は心の中で深い理解と納得を得た。

 なるほど……アンデッドは霧の影響を受けない。だから、セレナーデの石碑の周りにはたくさんのアンデッドがいたんだ! あいつらはただ、人類支配圏と魔物支配圏の間を彷徨っていただけの魔物じゃない。ベンジャミンたちが今回のために用意した媒体の用心棒だったわけだな!

 

 「しかし……まだ魔法陣について疑問が残るな。どうして連中はこの魔法陣を発動させることができたのか」

 

 一つの疑問が解決して、けれどミーティア村長は満足することなく、新たな疑問に立ち向かう。「どういうことですか?」と俺が問うと、彼はうたぐ語調ごちょうを続けた。

 

 「うむ……この魔法陣は本来、失われた技術だったのだ。起動法も、その術式も忘れ去られ、今や観光名所としての役割しかない。それでも、ギルドに納められた歴史書や文献、セレナーデの研究資料などを搔き集めれば、その再現は可能だろうが……しかし……」

 「……魔法陣の発動はできない、と?」

 「……うむ。というのも、このヘラクレイオンは当時の人類支配圏全土をスッポリと包み込むほどの大規模な魔法陣。そのため、消費する魔力もまた甚大じんだいなのだ。ギルドがこの魔法陣を活用できず、その知識を失うことになったのも、それによるところが大きい」

 「そうだったのか……あれ? でも、それじゃあどうやってセレナーデは……」

 「セレナーデは、かねてから宝石や神木しんぼくの欠片に自身の魔力を込めており、それを用いた魔法陣を駆使して戦う魔法使いだった。メロリアンに渡した手紙にも、そうした類の媒体を納められていたのだ。それがあったからこそ、魔法陣を発動させることができたのだが……それでも、一晩を超すのが限度。今回のように長時間、発動させ続けることなど……ましてや、交渉期間も考慮すれば、数日間は発動させ続けなければならない。無論、1人の人間では到底、不可能だ。一体、それだけの魔力をベンジャミンはどこから……?」

 

 俺からの質問に答えたミーティア村長は、大きな手で頭を抱えながら悩み始める。そうして、皆が賢者として称えられる彼が出す答えを待ち侘びている時――

 

 

 「アンデッドだ」

 

 

 突如として、輪の外からそんな一言がやってきた。大勢がいるにもかかわらず、固唾かたずを呑んでミーティア村長を見守る異質な空間にその声はよくとおり、思わず全員が一斉に振り返る。

 

 

 果たして、そこにいたのは、1人でいることを望んでどこかに消えたはずのイッシンだった。





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