1.5章:勇者退治編
第11話 間話:勇者①
────勇者は勇ましく、強い者が勇者なのではない。人々を正しく導く者が勇者なのだ。
僕の名はクラン・フォン・ニュールンク。16歳。
この国、クラウディア皇国のニュールンク公爵家の次男で、勇者だ。
僕は8歳の時の鑑別式で勇者になった。
そして神殿であの言葉を司教様から授かった。
僕は人々を正しく導く人間でなければならない。そのためには強くならなければならない。
僕はこの日から強くなる努力を始めた。
また、人々を導かないといけないので、一人称を俺から僕に変えた。
僕は悪を滅ぼす勇者として、必死に頑張った。
街中での悪も、勇者の力で次々と倒した。
しかし僕が9歳の時、手詰まりになった時があった。
何をすれば良いのかわからない。何をしても強くなれる気がしないと思い始めた。
だから僕は目標を決めた。
目標は高く、そして明確にしなければならない。
僕は考えているうちに一人の英雄を目標にしようと決めた。
それは、シン・ユグドラシアルだ。
彼の功績はどれも華々しく、そして偉大だ。
約1000年前とはるか昔の大英雄だが、彼の名は未だ衰えることを知らない。
その名は他国にも及び、クラウディア皇国が宣戦布告されたのは1000年の間でわずか5回。
そのどれもが数日で終わり、長くても2ヶ月で終わったそうだ。
そんな大英雄に僕はなりたい。
目標を見つけ、それに向かって僕はまた頑張った。
明確な目標を見つけてから、どんどん成長していくのが自分でも実感できた。僕はそれが嬉しかった。
そんな僕だが、今は仲間と共に勇者として人々を助けるために冒険者として活動をしている。
その仲間の名前はカグヤ、イリス、ゴウ、フィリス、そして僕だ。フィリス以外は皆僕の幼馴染だ。
カグヤのアビリティはAランクの剣聖だ。
剣の腕前だけは彼女には敵わない。彼女が先陣を切ってくれるので僕たちはかなり助かっている。しかし、旅の途中に結構話しかけてくれるんだけど、なんでだろう?
イリスのアビリティは同じくAランクの賢者だ。彼女の魔力値はこのパーティの中で群を抜いて多く、魔術の腕も随一だ。ついでに言うなら僕の好きな人である。
僕からアピールをしていて、手応えを感じているので彼女と恋人になる日ももうすぐだろう。
ゴウのアビリティはBランクの格闘家だ。
彼はこのパーティ唯一のBランクアビリティだが、彼の実力はAランク相当で、機動力はかなり高い。僕にとっては頼もしい親友だ。彼は前に出て攻撃するだけでなく、後ろに下がって後衛の守りもしてくれるので、後ろを機にすることなく安心して戦える。
フィリスのアビリティはAランクの聖女だ。彼女だけは神殿から送られてきた人で、最初は緊張していたが今では積極的に意見を言ってくれたり、戦闘時には随時支援魔術や回復魔術を使ってくたりととても頼りになる存在だ。たまに頑張りすぎて、魔力切れになることもあるが、それでもかなり助かっている。
とまあ、この4人と僕を含めた5人構成のパーティとなっている。
***
今日、僕たちは勇者パーティとして、エリ皇王から城に来るように呼び出されている。
「なんだろうね?クラン」
「さあ?僕にもわからないよ、カグヤ。冒険者ギルドを介さないなんて、何かありそうだけど……」
3日前に皇族の執事が直接僕たちに接触し、城へと来るよう書かれた手紙を渡してきた。
なぜ城にいかなければいけないのか聞いてみたけれど、
「それは当日お話しいたします」
と返されてしまった。
理由はわからないけれど、皇族に逆らったらいくら勇者パーティの僕らでも不敬罪で殺されてしまう。
なので、これは半ば命令みたいなものだ。
そして、僕たちがいる宿に城からの馬車が到着した。
僕たちはその馬車に乗って、城へと向かった。
そして城の中に通され、待合室で待たされた。
1時間くらい経った辺りで、前に会った執事が僕たちを呼びにきた。
彼と一緒に謁見の広場へと行き、皇王の前で僕らは跪いた。
「面を上げよ」
「「「「「はっ」」」」」
「勇者とその仲間達よ、よく来てくれた。今日呼び出したのは他でもない。其方らに悪魔の世界へと調査に出向き、あわよくば破壊の魔王を討伐して欲しいのだ」
今日呼ばれた意味が分かった。確かのこの案件は冒険者ギルドに通さない方がいい。なぜなら、僕らのパーティのランクは4だからだ。
冒険者ギルドは冒険者への仕事の斡旋をしており、その仲介料で成り立っている。
そして今のギルドのトップはなるべく犠牲を出さないようにするため、冒険者一人一人に合ったクエストをさせる方針で、この魔王討伐のクエストはギルドからしたら僕らでは無理だとして、受け付けないだろう。
僕はパーティのランクは4だが、実際の実力はランク5か、下手したら6相当だと思っている。
そして、ギルドが提示している破壊の魔王の討伐の推奨ランクは5だ。
僕らなら余裕だろう。
「了解しました。我ら勇者パーティが悪魔の世界の調査及び、破壊の魔王の討伐を引き受けましょう」
「ありがとう。其方らの勇気に感謝を。我らも全力でサポートする故安心してほしい。詳しい内容はそこにいるセバスに聞くが良い。これで謁見を終了する。各自解散せよ」
「「「「「「はっ」」」」」」
僕らは言われた通りに、そのセバスという執事について行った。
そして到着したのは会議室だった。
「それではお座りください。今回の件について、簡単にご説明いたします」
僕らは座った後、その説明を聞いた。
その内容は要約するとこうだ。
1,今回は悪魔の世界の調査という名目で行動する。
2,悪魔の世界に行く際、城から数人僕らと共に行かせる。
3,悪魔の世界に行くための用意は向こうが用意してくれるという。
4,悪魔の世界に行くには次元世界を飛ばなければならないため、体への負担が大きいことを承知の上で任務に臨んで欲しい。
5,期間は長くて3日。命の危険が迫ったら迷わず帰還すること。
6,1週間後に調査に出向くので、その日になったらまた城に来るように。
この6つが言われたことであり、最後にこの1週間は各々トレーニングをしたり、休んでコンディションを整えるよう言われてこの場は解散となった。
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ちょっと文字数が多いなと感じたので減らします。
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