1章:少年期編

第2話 転生と色々と

(僕はまた、転生したのか)


 意識が戻って、最初に感じたのは、手足が自由に動かないこと。

 それは、の転生で感じたことがあった。

 そう、それはなにも出来ないという不自由、故の絶望。

 しかし、一度なったことがあるのなら、対処は簡単だ。 

 泣けばいい。

 

「ウアアァァァ!」


 ちょっと変な泣き声になってしまったが、目論見通り、母親が来てくれた。


「はいはい、どうしたの?アル?」


 なるほど、僕の名前はアルというのか。


 それからというもの、特にこれといったこともなく、少しずつ成長をしていった。

 この世界には『ステータス』と頭の中で唱えれば、自分の今の状態が頭の中で表示される。

 最初に転生した時は、まるでゲームみたいだ、なんて思ったりもした。

 そして、今のステータスはこれだ。


 名前:アル・ローダス

 種族:ハーフエルフ

 年齢:1歳

 状態:健康

 生存値:50/50

 魔力値:500/500

 アビリティ:なし

 スキル:なし


 僕は晴れて1歳となり、少しずつ動けるようになった。

 後は、少しずつ魔力値を上げるように訓練をしている。

 1歳で魔力値500は異常の他ない。

 普通なら50が良いところだろう。

 これは訓練の成果の賜物だった。


 後、驚いたことに僕の種族はハーフエルフだった。

 おそらく、父親がエルフなのだろう。

 昔はハーフに対する人種差別がとても酷かった。

 今こうして、ハーフエルフが生まれているということはその差別がかなり無くなったのだろう。良いことだ。


 他には、アビリティとスキルだが、それらはまだ取得していない。

 なぜなら、アビリティは8歳になった全ての子供に対して行われる鑑別式というものがあるからだ。

 この世界では、16歳以上が成人としている。

 なので、その半分の8歳にそれが行われるのだ。

 そして、スキルはアビリティの成長の過程に手に入るもので、そのアビリティ特有のものが手に入る。

 アビリティにはランク付けされている。

 それは次のようになっている。


 SS:存在が仮定されている。実在するかどうかわからない。

 S:100年に一度出るかどうか。とても強力なアビリティ。

 A:10年に一度出るかどうか。このランクのアビリティを所持しているでけで尊敬される。歴代の将軍などはこのランクが多い。

 B:30人に1人出るかどうか。このランクからエリート扱いされる。

 C:最も所持者が多い。一般国民などがこれに当たる。

 EX:今まで出たことないアビリティ。詳しいことは何もわからない。なので、大抵Cランクと同じ扱いをされる。


 そして、この国、クラウディア王国は悲しいことに、アビリティでその人に運命が決まってしまう。

 しかし、その中で、Cランクでも国の重鎮に慣れている人だっているが、そんなのはほんの一握りだ。

 ちなみに僕は前世だと、Cランクの魔術師というアビリティを持っていたが、宮廷魔術師団に入れた。

 自慢じゃないが、エリートだった。

 そんなわけで、今から8歳になるのがちょっと楽しみな僕である。


 

***



 2歳になった。

 僕のステータスは順調に伸びている。順調すぎて怖いくらいだ。本当に、恐い。

 更に言うならば、嬉しいことにこの年でも魔術が使えることがわかった。


 魔術とは、一言で言えば、人類が編み出した技術の結晶だ。

 もともとこの世界には神技という、神のみぞ使えるものがあったらしい。そこら辺はよく知らない。

 神はある時天界で争いを始め、敗けた神が地上に降りた。

 地上に降りた神はまた天界に戻ろうとしたが、神技が使えず戻れなかった。

 神としての資格が失われたからである。


 そこで、彼らは地上で生きるために神技の代わりとなるものを創った。

 それは魔法だ。

 彼らは自分の中にある膨大な魔力と、地上にある魔素を使って、神技に似たものを編み出した。

 しかし、創ったは良いものの、神技には遠く及ばないことがわかってしまった。

 なので彼らは地上にいる者達に魔法を伝え歩こうということにした。


 しかしそこでも問題が生じる。

 地上に住んでいた人族や、エルフ族などでは魔力が足りないのだ。

 しかも、伝えた神達は寿命が生じており、そうとも知らなかった神達は悉く死んでしまった。

 そこで人族達は力を合わせて、自分たちでも使えるように魔法を改良していったのだ。

 それが今の魔術。

 さらに言うと、魔法に関する文献はほとんど残されていない。ほとんどが戦争で焼けてなくなったからだ。


 魔術とは主に二つの種類がある。

 それは、『詠唱』と『陣』だ。

『詠唱』は文字通り言葉を発して魔術を発動させるものだ。魔術を使っているほとんどの人がこれを使っている。

 仕組みとしては、言葉に自分の意思が篭った魔力を空気中の魔素に反応させてその現象を起こす、というものだ。

 詠唱は誰でも魔術が使えるようになるが、発動する際時間がかかるのが弱点だ。


 そしてもう一つは『陣』。別名、無詠唱。

『陣』は、術式という円盤型の物に術字という文字が書かれた魔術を発動させる媒体を自分の体の近くに発動させて、術式を中心に魔術を発動させるというものだ。

 しかし、これは高難易度で、使える人がほとんどいないのが現状だ。

 なぜなら、自分の意思で魔力を体外に出すことがかなり難しいのだ。

 なので、自分の意思で魔力をすぐに出せる『詠唱』が世間一般的だろう

 因みに僕は陣をすぐ使えた。何でだっけ?まあいっか。


 そして魔術師達は魔法や神技を再現できないかと今でも少しずつ研究が進められているが、伝承のような魔法や神技には遠く及ばない。いや、

 どう頑張っても、どう足掻いても、魔術は神技に、魔法に、勝てない。

 その領域に至らない。至れない。

 故に魔術の発展の低迷が起こっている。それは1000年前と同じようだった。


 僕も頑張って術式の改良を前世の時にしていた。

 そして、神聖樹の中でも。1000年もの間。

 そこでようやく、魔法の域にまでたどり着いた術式をいくつか創り出せた。

 その中の一つは不老不死。

 実現不可能と呼ばれている代物を僕は創り出した。

 欠点らしい欠点といえば、魔力量がとてつもなく膨大であること。

 なので、魔力を増やすと共に、保険として魔力量が膨大なを仲間にしたいと思う。

 でも、悪魔召喚の術式はこの国だと禁止されてるんだけど。

 成人するまでに考えておこう。

 


***



 3歳になった。

 ここまでのペースが早い気がするが、まあ特にイベントが無かったからな。

 ちなみにステータスはこんな感じ。


 名前:アル・ローダス

 種族:ハーフエルフ

 年齢:3歳

 状態:健康

 生存値:200/200

 魔力値:4000/4000

 アビリティ:なし

 スキル:なし


 魔力値が大幅に上がった。3歳でこれはヤバい。

 一般人でも平均は5000だと言われているのに、それを3歳児がそれに近い数値を叩き出している。

 異常だ。

 でも、まだ足りない。不老不死の術式を使うには、まだまだ足りない。この数値の5倍以上足りない。

 3歳の時点でこれなら成人、もっと言うなら、鑑別式までには足りるかもしれない。

 なので、これからも魔力値が増えるように精一杯努力し続けよう。

 改めて、僕はそう決意した。


 それと、最近になって親と街に出るようになった。

 今住んでいる都市の名前は、ニュールンクというらしい。

 何でも、この国の中でも一二を争うくらい、とても大きい都市なんだとか。

 なのでとても騒がしい。煩い。人混みヤダ。


 この街は嫌いだ。

 


***



 4歳をすっ飛ばして5歳になった頃を話そう。

 4歳の時は特に何もなかった。

 強いていえば、外に出歩くことが増えたぐらいだ。

 もちろん、親同伴で。


 この家の両親はとても良い人だ。

 上から目線で言える立場ではないのだが、それでも僕は言いたい。

 とても素晴らしい人達だと。

 なぜなら、僕に対してとても優しいし、間違ったことはしっかりと叱ってくれる。

 しっかりと愛を込めて、僕を育ててくれているのがよくわかるのだ。


 このような親が前世でも、でもいたらよかったのにな、なんて思ったりもした。


 そう思うと、とても悲しくなってきた。

 両親はとても良い人なのに、どうして僕はこうも



***



 6歳をすっ飛ばして、7歳になったことを話そう。

 その頃となると、魔力値もかなり伸びてきて、あと数年で不老不死の魔術が使える量にまで達することができる。

 あと少しだと思っていた時に、気になることを街で聞いたのだ。


「おばさん、このリンガリと、トメトを五つずつ下さい」


「はいよ。今日もお使いなんだね。アルは偉いねえ。でも気をつけなよ」


「何をですか?」


「最近、ここの丁度南にある貴族街でなんか変なことが起きてるらしいのよ」


「変なこと?例えばどんなの?」


「これはあくまで噂なんだけどね?何でも、そこの路上で貴族の護衛がなぜか倒れて死んでいたり、あとは、どこかの貴族の庭に大きな穴が空いていたりしていたらしいのよ」


「その死んだ護衛の人の死因とかわかってないの?」


「それが何でも外傷が無いんだっていうのよ。普通死んでいたら、どこからか血を流していたりするもんだけどね。まあ、起きた場所がここから離れた南だっていうから、それだけが不幸中の幸いかしらねえ。多分リーネさんも知っていると思うから、今日の夜あたりに言われるんじゃないかしら」


 リーネは僕の母親の名前だ。


「・・・わかった。今日お母さんに言われたら、おばさんに教えて貰ったって言うよ。ありがとう」


「良いのよ。気をつけて帰ってね」


「はーい。じゃあね、また買いに来るから!」


 こうして僕は、何か得体の知れない不安を抱えながら、真っ直ぐ家に帰った。

 いや、不安は抱いていただろうが、今思い返してみれば、不安の他にも、何か喜びのような感情を抱いていたのかも知れない。

 そんな複雑な気持ちを抱きながら、僕は家に帰ったのだった。


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 ちょっと説明を詰め込みすぎたかもしれません…


 コメントなどよろしくお願いします。


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