第9話 Dランク冒険者タイム その実力③
「ギャギャ」
「ギャーギャギャ!」
「ギャッギャッギャッギャーーーァ」
みーつけたとでも言っているんだろか?
空から次々とインプが叫びながら降りてくる。
「ギャギャギャギャギャッ…………ギャァー」
見つかったインプは俺を指差すと、まるで見つかったのは俺のせいだとでも言いたげに不満の声を上げている。
「ギャーーーギャッ!!」
「ギャーギャギャ!ギャギャガギャガ!!!」
二匹のインプが言い合いを始めいがみ合っている。
「ギャーーーギャッ!!」
「ギャーーーギャッ!!」
よくわからないインプ同士のやり取りをよそに、俺はそっと自分の右手に魔力を込める。
「
「ギャァ!」
ちょうど遅れて降りてきたインプが、俺が何かしている事に気づき声を上げる。
(全部で5匹か……………)
俺のユニークスキル『収納』は、倉庫にある予め指定されている物をスキルレベル分登録し、倉庫と接続することで呼び出すことが出来る。
かなり使い勝手が良い能力ではあるんだが、使用回数が在ること、登録できる数がレベル分で在ること、接続する時に結構な隙を作ることから、残念ながら戦闘中にほいほい使える能力では無い。
ただそのメリットはでかい。
普段危なっかしくて使えない武器、俺のようなDランク冒険者が持っていてはイケナイそんな魔道具等、そんな切り札と言える様な武具を持ち歩く必要が無い。
そして何より――――丸腰だと大体の奴が侮ってくれる。
それは人も魔獣も変わらないみたいだ。
「お前らがバカで助かったよ――――――出ろ
何もない空間から眩いばかりの光に溢れ出すと、剣の柄だけが現れるとまるで空間そのものが鞘だったかの様にタイムはその柄を引き抜く。
キィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーン。
鈴鳴のような音が当たり一面に放たれる。
同時に――――――――厳かに空間が張り詰める。
空間から解き放たれた剣の切先を俺は、最初に見つけたインプに向ける。
「
その力ある言葉と共に、魔力がぐんと引き抜かれる感触を覚える。
ドシュッ!
軽い噴射音と同時に光の筋がインプの額に疾走ったかと思うと、光はインプを貫きその後ろに居た、もう一匹のインプも貫くと、二匹のインプの光の当たった所に金貨大の穴が開く。
どさっ、どさり。
事切れたインプが続けざまに宙から落ち、雪に沈み込む。
「ギャァッ「
あっけに取られていた残りのインプにも、その切先を向け連続で光の矢を放つ。
幸いにも全部一撃で仕留められたが、しかし魔力の消費が半端ない。
この『
それをエヴァが2ヶ月かけて魔改造して出来上ったのがこの『
魔力が豊富にあるはずのエヴァでも
「ふぅ……………疲れた」
額の汗を拭うと俺は
それと同時に光輝いていた
それでもそれなりに光っているコイツは、腰にぶら下げているだけで盗賊や盗人の類を引き寄せる。
ユーリアの街には
そんな奴らが俺に集ってくるのだ。
鬱陶しくて仕方がない。
「それにしても……………インプってどこが討伐証明部位になるんだ?」
普段魔獣程度、それも
(もうちょっと居たように思ったんだけどな……………。あの娘達は無事街へと着いたかな?)
一か八かの賭けではあったが、インプたちは自分達の
この辺は街に近く魔獣どころか普通の獣すらほぼ出ない。
見渡す限り平原で、ただただ広くユーリア山脈の裾の広さを実感出来る。
今回みたいな異常事態がそう何度も続いてたまるか。
そう独り言ちながらタイムが空を見上げると、そこにはインプの群れは無く、もうまもなく粉雪から吹雪に切り替わる、そんな気配を感じたタイムは急ぎユーリアへと走り出そうとした、まさにその瞬間だった。
『魔獣討伐数が一定数を超えたため、ユニークスキル収納のスキルレベルがアップしました』
冒険者の街 ユーリア 黄金ばっど @ougonbad
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