作品梗概(ネタバレあり)

本文の梗概です。ネタバレ注意!






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医療大国満州とその歴史、及び大陸浪人柳川二十三について 梗概 鯨井久志



 一九二七年、自死寸前の芥川龍之介は、精神科医・歌人の斎藤茂吉の伝手で極秘に満州に渡り、当地で当時最先端の医療技術・電気けいれん療法を受け神経衰弱を寛解させる。その後精神医学の普及と進歩を望んだ芥川は大陸浪人柳川二十三として人脈を築き、一九三六年には内地から赴任した岸信介に『精神医学産業立国大綱』を提出。岸はそれを基に大麻の大量栽培やLSDなどの合成麻薬プラント建設を進める。芥川は岸の内地帰国後その後を襲って満州国国務院総務庁次長に就任、実質的に満州国の産業部門のトップを担うこととなる。

 一九四四年に太平洋戦争の講和が成立、以後世界はアメリカ合衆国の割譲を巡る日独冷戦の時代に突入する。柳川(芥川)率いる満州国は溥儀帝を廃し、共和制に移行。柳川は満州国初代大統領を務める。

 戦後、柳川は自らの理想実現のため、その高い科学技術を目当てにし、ナチスドイツへと接近する。しかし、ドイツ側の日本への危機意識から、一九六〇年に柳川は満州の首都・新京で暗殺され、満州はドイツの実質的な傀儡国家となる。その後、ドイツの間接統治と技術力提供を受け、満州の医学は飛躍的に進歩し、医療大国として繁栄の道を歩む。

 一九七〇年代、日独冷戦の均衡を破るべく打ち出した日本の月面着陸計画「あけぼの計画」に対抗し、ドイツは「内宇宙の月面着陸計画」として「ヤナガワ計画」を打ち出す。「ヤナガワ計画」とは、ニコラ・テスラの世界システム理論とrTMS(反復経頭蓋磁気刺激法)、更には人工衛星とを組み合わせることで、地球軌道上から高磁場を照射し、全人類の精神病を「根絶」する計画でであり、ドイツはこのために大連に築いた満州航空局を人工衛星の母港としている。

 二〇三〇年、ついにヤナガワ計画は実行される。ドイツ第3帝国による世界征服が完了し、世界から精神病は「消える」のであった。

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医療大国・満州とその歴史、及び大陸浪人柳川二十三について 鯨井久志 @hanfpen

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