論理

劉水明

論理

私はこの会社に務めて7年になる中堅だ。


私は常に論理的に考えて仕事をしている。

企画部に配属になってからも論理的に判断を行い業務を遂行している。


いつものように部下がこちらの方にユラユラとやってきて、企画書を箱からはみ出るように置いていった。この部下はいつも企画の詰めが甘い。きっと今回もそうだろうと思い、企画書を隅から隅まで目を通した。


これでは採算が合わない、、


予想通りだ。私は部下を呼び企画書の修正を無機質な声で指示を出した。

そんな日常を過ごしていると、私は部長に呼ばれたので机に向かった。


それは、AI導入に関しての説明だった。


企画書などの書類をデータを入れると間違いやアドバイスなどが出るというものだ。


論理的に考えてみると、指摘している時間自体が無駄だ、これで無駄を省けると思った。


早速、先程の部下の企画書をスキャンしてAIに聞いてみた。


コストが〇〇円採算が合いません。

数量を増やせばコストダウンとなり採算が合うようになります。

また、検索した結果 類似品がなく、流行に沿ったもので売れる可能性が92.3%になります。


こいつは凄いな。細かい数字まで出てきた、、

予想以上だ、、


私は役員会に企画書の内容を説明しに行き、承認をもらった。

しばらくすると、この企画書の製品は飛ぶように売れた。

我社は、この事によりAI導入を他の部署にも拡大させた。


数年が経ち、私は人事部に呼ばれた。


「〇〇さん、昇進です。課長待遇で庶務課に行ってもらえますか?」


私は一瞬喜んだ。しかし、よく考えると我社で庶務課といえば雑用ばかりのリストラ対象が行く場所だ。


「なぜ、私が庶務課なんですか?」


「AIによると、論理的な思考の方は我社には不要らしいのです。幸いあなたは、細かい性格なので庶務課のような細かい仕事が向いていると答えがでました。」


人事の口から出る冷たい音は、


まるで鉄の塊からでる電子音のようなに聞こえた。





そして、考えるのをやめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

論理 劉水明 @yanwenly

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ