第18話【リハビリ(作者の)】

 なんやかんや色々あったような、そうでもないような、記憶がすっぽり抜けてるような今日このごろ、機械っ娘が半壊させた祭り会場の事後処理がまだ1割も終わりませんが俺は元気です。機械っ娘については、まあ、恨みこそすれど感謝はしないですかね。迷子になった挙げ句に花火に対抗して大爆発を起こしそれに駆け付けた俺に体当たりかましてきたかと思えば「我が漆黒は弾けるシナプス!」とかいって右腕に全治一ヶ月の重症負わせてきたあのポンコツ……もとい相棒、絶対に許さねぇ。


 「あっ、勇者さーん。その建材そこ置いといて貰える?」


 「あ。ウス」


 ……とは言え、今は仕事中だ。たく大爆発とは物騒だね、この仕事さえ無ければアイツに一泡……ってこれも機械っ娘の仕業じゃねえか!?危ねえ流されるところだったわ、あーもうなんでこうフレンドリファイアするのかなぁ!?つか機械っ娘いねぇし!!?よし決めたこれから機械っ娘のこと爆弾娘って呼ぶわ。


 「あの爆弾娘め!?」


 「ニューマスター、発見。【ボ○バーマン 女体化】で検索するとお探しのものは出てきます」


 「お前のことだわ!?つか今まで何処行ってた!!?」


 機械っ娘は無機質な顔で、表情一つ動かさずに小首を傾げた。間違いない、この顔は今日の夕食について考えている顔だ、俺には分かる。しかし残念だったな相棒よ……今日はお前、一日爆発の事後処理サボってたから飯抜きだ!はいドンマイ。


 「応答、私は魔王城に行ってました」


 ……は?


 「ちょ、ま、は?えっ……そこ終盤……どゆことだよ!?」


 「説明不足と推定。詳しく説明しますと、魔王が暇そうだったので突撃したところ魔王軍予算資料(徹夜作品)を破壊してしまったので、仕方なくランチとティータイムで勘弁してやったところです。身体が重いです」


 「あーうん魔王も大変だな〜。……ナイスプレイ、機械っ娘」


 「完璧で幸福な私にかかれば朝飯前です、昼飯食べた後ですが。それで、提案があるのですが」


 機械っ娘は無表情でニヤッとすると、悪魔のような提案をしてくる。これは間違いない、面白いこと考えてる顔だ!俺には分かる!


 「仕事に追われる魔王のところに、"遊び"に行きましょう」


 「嗚呼、二十四時間耐久トランプやろうぜ!仕事机の上で、な?」


 さて、魔王城行きますか!え、飛ばしすぎ?いやいやマリなんちゃらにも隠し土管とかあるし、ショートカットとか普通なんよ。そも、人類を救うために手段とか選んでられないよね!うん!

 ……てか、あれ?王様に魔王を倒せって言われて出てきたが、魔王ってなんか悪いことしたのか?っ、あーなんか急に頭がいてぇわ。


 「では、行きましょう勇者。魔王城へ」


 「え、あぁうん。ところでどうやって行くんだ?」


 「私に掴まって下さい」


 言われた通りに掴んだ。……なんかいや予感する。


 「では、行きます」


 機械っ娘が上昇した。勢いよく三十メートルぐらい上昇した!落ちたら軽く死ねるがこれどうしてくれんだよ!?安全性皆無か!!


 「えぇ……マジで、俺最悪死ぬが?つか人間その乗り方はできねぇんだよ!いや、もう降りれねぇ高さだけど」


 「大丈夫です。蟻はついてきました」


 「比較対象がおかしいぞ!?俺にそこまでの生存力と握力を期待するな!!」


 落ちたら必死のこの状況に抗議の叫びをする俺、しかし流石は機械っ娘、聞く耳もたねぇ。つか、俺を無視して蟻に餌をあげるのやめろ。相棒のピンチやぞ。


 「発進致します。当機はシートベルト及び緊急用のパラシュートを配備しておりませんので、落下の際はお客様自身の運と自力で生き延びてください」


 「まて、それ人間が乗っていいやつじゃない」


 「……ニューマスターは勇者ですから」


 「勇者も人間ですがぁ!?」


 「では発進致します。心安らぐフライトを」


 ……機械っ娘の時速は、現代で言うところの電車とかの速さを超えていたと思う。それは単に風圧が強すぎたからではない、機械っ娘の台詞にツッコもうとした俺の言葉がからだ。つまり、どういうことかというと……


 (あっ、これ死んだな)


 そう、敵は落下死ではなく、殴りつけてくる風圧だったのだ。とはいえ秒で死ぬのも癪なので、というか死にたくないので、右手についたヒノキノボウを突き立ててせいぜい足掻こうと思います。次に目を覚ますのは教会ですね、では色んな意味でさようなら。

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10Gと一緒にもらえる【ヒノキノボウ】が呪いのアイテムだったのだが、どうすればいい? 坂本尊花 @mikoto5656

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