「3.世界の三大発明」&「4.活版印刷機」

 問題です。ルネサンス期における『世界の三大発明』と言えば?


「はいはーい! 『火薬』『羅針盤』『活版印刷術』! 『まおゆう』でやった!」


 はい正解です。



 まあ全部、中国発祥なんですけど(印刷術については日本のものが最古)。


「中国ってなんなの?」






(※ここから先は本格的にネタバレになります。お気を付けください。


 まだの方は、こちらからどうぞ!↓

涼月さま『ティアル・ナ・エストレア ー青髪の双子の王子ー』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054918445774
















【世界の三大発明】


『ティア・エス』でも、『爆薬』『方位磁針』『活版印刷機』が重要なワードになりますね。



 特に『爆薬』。天空国に侵略される聖杜では、グリフィス先生が発明した『爆薬』の使用が肝だったと思います。


「というか、この物語の肝だよね。『積極的に力を使うことへの善悪』。例えば内通者のこのセリフ、」





――「せっかくこんな力がありながら、なぜ他国のためにばかり働いて、自国の民のために使おうとしないのですか! 何のための知恵ですか!」『第8話 裏切りの理由』より引用






「こう言う議題が度々突きつけられるんだよねー」


『守るために戦うか』『それとも戦わずに消滅するのか』ですね。


「もしくは、『その場の勝利』をとるか、『その後の未来』をとるか。

 グリフィス先生は爆薬でその場の勝利を収められるとしても、その後の戦争形態が変わることが容易に想像できただろうね。

 同じように、聖杜の王も軍を持つことで未来が見えていたと思うし」


 兵士を養うためには、戦場を探すしかない?


「まー、災害時にも対応します! 平常時は警備します! 力仕事もします! とにかく何でもやります! っていう機能も備えられるだろうけれど、それでも平和な時は予算が縮小していくだろうし、兵器なり兵力なり、強大な力を持ったら使いたくなったりするじゃん?

 その辺の道端に棒があったら振り回すでしょ絶対」


 いや、それは振り回さない人もいるからね?


「うん、いると思う。いると思うけど、集まるのはそういう人間だと思うし、奇跡的にそうじゃない人間が多くいても、低い方へ水が流れるように、抗えないのが組織じゃない?」


 ……そうかも。


「でも結局、軍を持っていなかった聖杜を守っていたのは自衛兵と、秘匿されてた爆薬だったんだよね。

 平和と戦争っていうのは、別個のものじゃなくて、表裏一体なんだなって思うよ。平和を考えるには戦争の手段を考えないといけないし、戦争をするのなら平和にたどり着かなくてはいけない……」


 平和の状況を永続的に保つのは不可能ってこと?


「平和は時に、『下層から搾取する』システムだったりするから。そういった変動しない社会に大きな変化を求めるには、戦争をするしかないでしょうよ。そんであちらを立てればこちらに不利益があるわけだし。


 まあ、こんな風に物分りのいい言い方をするから、いつまで経っても『裏で儲けるために戦争する』人間とか、『自分たちの利益を守るために弱い人間を戦争に行かせる』奴が貪るんだろうな……」


 飛翔が行った1000年の世界も、変わらなかったですものね。我々が言えることじゃないけど。


「原作ナウシカで、腐海や世界が完全に浄化されるには1000年必要って言ってて、その時は『1000年も!?』って思ったんだけど、こう考えると『ホントに1000年で足りる!?』って思っちゃうね。1000年経っても人の煩悩って進化してない気がする。

 ただ思うのは、宇宙の神がエストレア星人に贈りたかったものは、この1000年だったのかもしれない」


 というと?


「私たちの進歩は、技術そのものじゃなくて、それを扱う脳みそだと思うの。

 聖杜の民は、王様と『知恵の泉』さえあれば平和だと思っていたし、親神王シェンチンワン玉英王ユーインワンは、即効性や間違えない方法を求めて『知恵の泉』を求めたけれど。

 これだけしたらいい、これだけ信じればいいって、それじゃダメなことがある。

 或いは、強大な力を手に入れて一夜でひっくり返したとしても、それを上回る強大な力が出来るのは明白で。

 間違っていたとしても、時間がかかったとしても、考えて決断して、責任と向き合う力。

 或いは、『皆で考えれば必ず望んだ形の未来にたどり着く』と信じることが出来る力。


 その為には、全知全能な存在から与えられた知識じャダメで、自分たちで考えないといけないことなんじゃないかなって思うよ」








「……って、単細胞な私が語っても説得力がないことを述べて、今回は主に『活版印刷機』と『紙』について調べてみました」


 あ、逃げた。


「いやこう言っちゃなんだけど、あんま戦争と平和を語るとコメント欄が荒れるのよね……」


 うわー、複雑性に耐えられない人がここにいるー。


「潰れるよかいいでしょうよ。あとあんま人が殺されることとか考えたくない……」


 うーん、ホントに自分のこと棚に上げるなぁこの作者。








【活版印刷機】

 三大発明の一つ、活版印刷機。

 活版印刷機とは、一字一個の判子(活字)を並べて組版を作り、印刷する方法です。聖杜では陽春さんが作っていましたね。


 グーテンベルクは、金属活字を使った印刷術を発明し、自ら印刷業・出版業を創設したと言われています。

 のちにこの印刷技術は、ヨーロッパにおける文芸復興ルネッサンス、宗教改革、近世社会の到来に大きく貢献していきます。


 ただ、『木版印刷』と言って、木版に文章や絵を彫って版を作り、紙に印刷する技術は、それこそ唐の時代から仏典で使われていた技術です(一ページ丸ごと作る版を『整版』とも言う)。


「所謂『版画』って奴だな。浮世絵とか瓦版とか」


 また、宋代ではグーテンベルクより早く活字印刷が出来ていて、仏教経典や儒教書、漢詩文などが印刷されるようになり、

 南宋時代には商業出版、

 元代には通俗的な小説や科挙の受験参考書などが印刷されるようになりました。


「何か、今の出版業と大して変わらないね」


 ちなみに、私たちがパソコンで使っている『明朝体』は、明代に使われた活字の字体ですよ。


「マジで!?」




☆簡単な中国の歴史☆

夏→殷→周→春秋・戦国→秦→漢→三国時代→晋→五胡十国時代→隋→唐(618年 - 907年)→宋(960年 - 1279年)→元(1271年 - 1368年)→明(1368年 - 1644年)→清→中華民国→中華人民共和国




「えーと、グーテンベルクの発明は1445年だから、印刷技術自体は800年も前にあって、活版印刷も150年前には既にあって……」



 ただ、この宋代や明代で活版印刷された本自体、滅茶苦茶貴重なものでした。


「え、なんで? 数増やすのに?」


 ヒント:

 アルファベットは26字 漢字は5,000字以上(日本では50,000字ほどある中で3,000字ぐらいが常用漢字らしい)


「素々子それヒントちゃう、アンサーや」


 まあ、アルファベットと活版印刷はとても相性が良かったということです。

 ただ、ヨーロッパでは紙がほぼほぼありませんでした。

 のちに『グーテンベルク聖書』と呼ばれる西洋初の印刷書籍も、最初は羊皮紙で刷られたと言われています。

 聖書45部分の羊皮紙のために、羊7,400頭が必要だったとか。


「羊皮紙ってホントに羊の皮なんだねぇ……」


 しかし、この活版印刷機の登場により、紙の需要が高まっていくのです。

 というわけで、今回は紙について調べてみました! 次回へ続く!



【参考文献】

Wikipedia「ヨハネス・グーテンベルク」

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF

(最終アクセス2021年5月20日)

Wikipedia「グーテンベルク聖書」

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF%E8%81%96%E6%9B%B8

(最終アクセス2021年5月20日)

Wikipedia「活版印刷」

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%BB%E7%89%88%E5%8D%B0%E5%88%B7

(最終アクセス2021年5月20日)

江口豊「活版印刷術の展開と新聞成立との関連について」

http://hdl.handle.net/2115/58803

(最終アクセス2021年5月20日)


高校で使った

木村靖二・佐藤次高・岸本美緒『詳説世界史B』山川出版社

浜島書店『 NEW・STAGE 世界史詳覧』


大学で使った レジュメ



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