砂漠の街
谷山悦治
砂漠の街
僕がここに来たのは十年ほど前かな。いや、もう少し前だったかもしれない。どちらにしてもそこは重要じゃないから、曖昧なままでいいね。
ここは砂漠でね。建物も何もなかったんだ。
人はいたよ。もちろん。それも何人も。
そんな人の中にはね、とてもみすぼらしい格好をしている人もいたし、凄く豪勢な宝石やら装飾品やらをつけてる人もいたね。ああ、ちょうど僕が今つけてるようなものだったよ。
ん?どうやってここに来たかだって?
それはね、気づいたらいたんだよ。君もそうだと思うけど。
なんとなく、ここに来るきっかけみたいなものとして、いくつか思い当たる節はあるんだ。
ただ、確定的な何かはわからないままだよ。でもね、そこは重要じゃないんだ。そう気づいたんだよ。
そういえば、ここに来たとき、豪勢な装飾品をつけた人に話しかけたことがあったっけ。
その人も言っていたようながするな。ここに来たきっかけは大事じゃないって。
あ、思い出してきたよ。その人変だったんだ。
周り見渡しても砂漠しかないのにね、それがまるで昔のことのように話すんだ。ほら、今でこそこんなに栄えたよ?でも僕が来たときはまだ周りは砂漠だったんだ。
そこで僕は思いきって聞いてみたんだよ。ここは砂漠じゃないんですか?って。
そしたら、えっ?まだ砂漠?って言って驚いた顔してね、その後少し考えたような間があったあと、そういうことなのかって言ったんだ。僕はなんだか怖くなって逃げちゃったよ。
ん?まだ砂漠?
そういうことなのか。
砂漠の街 谷山悦治 @policemen
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます