第7話 おしまいの距離
おしまいのそろそろおしまい
突然の桜吹雪、俺の視界は目を閉じたためゼロになる。目を開けると白い世界でまた気持ちよく浮いていた。
「…俺、女神になんかしたか?」
「泣くんだもん、ずるい」
「なんだよそれ。泣いちゃダメなのかよ」
「泣いてほしくないよ」
「好き勝手動くから面白いだろ?」
「知らない!あんたには飽きたの」
女神とはこれきりだとわかった。面白い世界を作れないと悩む彼女に協力もせず、考え方を変えることも結局なにもできなかった。俺はとことん無力だ。結局世界を動かすことはできない、ただの村人1だ。同じ台詞を繰り返す。
向こうのみんなにお別れもできなかったな。なぜか桜の前で涙が出た。きっと別のススムも泣いていたんだろう。心までざわつかせるような強い風に、きれいな桜もろとも揺さぶられて落ちる。
まるで花を咲かせることが終わりじゃないと、散り際を見せるように。花よりだんご、騒ぐための口実みたいなもんだ花見なんて。
ああ、
「じゃあね、ススム。せいぜいつまんない人生を歩むことね」
「おうよ、女神!あんたの話面白かったよ」
「うっせぇわ」
「お前桜、好きなんだろ?」
「うるさいうるさい!早く目覚めないとまた違う世界に飛ばしてやる」
「はは、じゃまたな」
目が覚める前に女神の呟きが聞こえた。
「もうこれでおしまいにしてあげる」
「ススム」
先輩の声がした
ああ起きなくちゃな
「ススム」
マモルの声
宿題忘れんなよ
「ススム」
今、目を開けるから
はじめましての距離 新吉 @bottiti
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