幽霊を信じるって素敵じゃないですか?


 気づけば君の隣。

学校を終えた直ぐの帰り道で、夏休みを開けたと言うのに苛立つような暑さに苦しめられている。そして、誘いに断れなかった自分自身を今更に責め続けていた。一方で、僕の隣で呑気に下手くそな鼻歌を披露しながら足を弾ませている存在が鬱陶しい。

 こんな状況に何を話せばいいかわからないし、それ以上にこんな状況を経験したことなんてある訳もなく、現在に至る事の発端である昼休みの振り出しに戻ることにした。


「ねえ、君は幽霊を信じてるの?」


隣の君を横目で見ながら口にすると、困惑したせいなのか、それとも僕の喋り出すタイミングが悪かったせいなのか、驚き惚けた君の大きな瞳に目視された。この瞬間、君が何を思ったのかなんて僕にはわからないけど、次にはそんな僕の質問を待っていたかのように、いつもの笑顔を作った。


だから僕は君から目を逸らした。


「だから言ったでしょ?秋野くんが信じるなら信じるの」


「信じる」そんな誰が決めたかもわからない綺麗事を簡単に言う君がまた鬱陶しい。


「なんで、僕なの?」


「秋野くんを信じてるからだよ!」


あぁ、ムカつく。それに即答のくせに答えになっていないし。


 文句を頭の中で吐き捨てて、一度止まる足を再び動かした。


「質問の答えになってないよ、それに…」


 君の浅はかな返答に対して不満をぶつけようとした時だった。そんな僕から逃げるように、隣にいた存在は道を外れた。それを目で追うと、一つの家の敷地に入り玄関扉前にある階段を一歩で飛び越えて勢いよく扉を開けていた。

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僕は君を夢見てる 信心 @Kousei0508

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