隣の浮気は蜜の味。
@hoshinokirara
第1話 いつめん。
ガラガラガラ。
いらっしゃいませー。おひとり様ですか?
俺「いや、友達が先に来てると思うんですが」
あっ、石田さまのお連れの方ですか?
右奥のテーブルです。どうぞこちらへー。
金曜日の夜ともなると名古屋駅のそばの居酒屋はとても混み合う。大通りから一本入っているとはいえ、どのテーブルも満席だ。お店に流れるBGMが聞こえにくいくらい賑やかな店内を店員さんに案内され、ついて行くといつものメンバーがビールだけ頼んでいてくれた。待ち合わせ時間から5分遅れの俺を待ちわびていた。
俺 「悪い悪い。遅くなってしまった」
石田 「おつかれー。俺たちもさっき来たところだよ。ビール頼んでおいたぜ。乾杯しよ」
カンパーイ!! (カンッ)
(ゴキュッ、ゴキュッ、ゴキュッ、ゴギュッ)
すごい勢いで生中の殆どを飲み干す石田、戸田と、半分ほどで止める細山と俺。
一口目から友達のお酒の強さを羨ましく思いつつ、戸田がさっそく仕事の愚痴を始めた。
戸田 「あの支店長まじで死んでくんねーかなー。内勤してても、外回りしてもどうせ怒ってくるからさー最近、外ばっか回るようにしてるよ」
いつものように勤めている信用金庫の支店長の愚痴だ。おなじみの切り出しにこちらも通常業務をする。
俺 「はやく辞めちまえって。お前、ボーナスの度に 辞める辞める って言ってるのに辞めねーじゃんか。体壊す前に辞めた方がいいぞ」
石田も細山も幾度となく見聞きしているこのやり取りに飽きつつもしっかり頷き同調する。
この店で一番人気の唐揚げが来くると、すぐに自分の取り皿に、一つ大きな唐揚げを取り寄せながら石田が言った。
石田 「今度4人でどっか旅行でも行こうぜ。仕事のストレスなんか美味いもんでも食べて忘れよう!」
石田はいつも前向きな発言が多くこの時もパッと明るくなるような話を切り出すも、言ったそばから俺の顔を恐る恐る確かめるように見る。
俺 「いいね。行こっか。嫁さんには仕事って言っとくから大丈夫だよ。笑
大阪でも行くか?」
石田 「さすがっ。夜風俗にも行ってぱーっとしよう!」
細山 「破産するなー。笑」
石田 「小さなこと気にすんなって。笑 スッキリしたらまた仕事頑張ればいいじゃん?」
慎重派の細山も笑いながら結局は同意し、大阪旅行の話が進んでいくと、やさぐれた心も少し穏やかになりいい具合に4人とも気持ち良くなった。
その日も22時頃には飲み会をお開きにし旅行という楽しみを思い、その日までまたしばらく仕事を頑張ろうと各々が家路につく。
結婚しているのは俺だけだが、いつもそんなに遅くまで飲むことはなく、帰って、風呂に入って、寝る。という作業を24時を越えるまでに行うところがこの4人の性格を表している。
隣の浮気は蜜の味。 @hoshinokirara
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