最終話「味噌汁爆発!!!!!」

 2年後………


「えーっ!?あの事件って先輩が原因だったんですかーっ!?」


「シッ!声が大きい」


 女が二人、給湯室で談話していた。

 その女の内の一人は、2年前までは確かに男だった。

 2年前、世界から男が消えた。

 人類は女のみになった。

 ヒトという生物から雄が消え、ヒトは産雌単為生殖を行う生物となった。

 ヒトは女のみが存在し、生殖行為を必要としなくなった。

 その原因は、ある家の台所で作られていた味噌汁によるMSBRだった。


 M…Miso

 S…Soup

 B…Bomber

 R…Revolutions


 それは、ありとあらゆる世界の均衡を保っていた物質のバランスと全く同じバランスの味噌汁が出来上がった時にのみ発生する、事象である。

 MSBRが発生する条件は奇跡と呼ぶにはあまりにも低すぎる確率だった。

 時、場所、空間、次元、味噌の種類、味噌の量、出汁の取り方、出汁の材料、具材の比率、鍋の材質、使用する水の水質、使用する水の量、流れる空気、ありとあらゆる条件がぴったり重なった時にのみに発生するその現象は、一瞬よりもさらに短い一瞬で世界を破壊し、再び創造する。

 MSBRが発生するとそれまでに存在していた世界の法則は変わる。

 女は偶然と必然の狭間でそれを発生させた張本人だった。


「あ…はい。……でも先輩、先輩は放置していたわけでもないのになんで味噌汁は爆発したのでしょう?」


「それは、味噌汁だからだろう……」


 舌足らずな声で女は答えた。

 MSBRが発生した原因りゆうなど女にも誰にもわからないことだった。

 これは、人類の歴史上で二度目のMSBRによる世界改変だったが、その事実を知るものはどこにもいない………

 味噌汁爆発!!!!!

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味噌汁爆発!!!!! 貴音真 @ukas-uyK_noemuY

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