俺の三頭、マジデカい

第1話まっちょこ

玄関のドアを開けてから雨が降っていることに気が付いたまっちょこの気分は、さらに憂鬱なものになった。

今日は寝坊して特別支援学校に出られなかっただけでなく、その後予定していた国立科学博物館の特別展である、なかよし電車展に一人で行くことになってしまったからである。当初は支援学校のおともだちとみんなで行く予定だったが、皆まっちょこが怖いので次々キャンセルされてしまったのだ。

　おともだちがいないので少し寂しかったが偉いのでまっちょこは目的地まで目指す。平日の昼間だというのに人は多い。五分ほど歩くと、なかよし電車展の案内の看板が目に入った。三十分待ち。ネットの情報よりは早い時間で入館できそうだ。

　チケットを買い、列に並ぶと不意に背中を叩かれた。

「うううーー！！電車ーーーーー！！！」

　電車好きの仲間が興奮して暴れていただけのようだ

まっちょこも大の電車好きである。好きな電車の特急成田エクスプレスE259系を見ると嬉しさのあまりついつい理性が抑えきれず奇声をあげて暴れ出し、周囲の人や物を壊してしまう。

こういう時、いつもまっちょこは筋トレをする。あふれる電車への情動を周囲ではなくダンベルへ向けることによって他者を傷つけまいとするまっちょこの処世術であった。