マージナル=マン

@izumi_kurotsuki

プロローグ

その死体は姉のものだった。

頭に銃痕、即死だろう。

エアバクセネからの侵略はまさに奇襲だった。姉はその侵略から逃げ遅れたのだ。

これは自業自得、仕方がないのだ。

イラつく。イラつく。


あれほど賑わっていた繁華街も、家族団欒があった民家も、道も、木も、全て、ありとあらゆるものが火の海に包まれ消え去った。残ったものは燃えた物の残骸、死体、人だったものだけだ。

エアバクセネとは戦争中なのだからこんなことが起こっても仕方がないのだ。

イラつく。イラつく。


黒くなった街は、今の感情そのものだった。

数時間前までいた所とは全く別の場所のようだ。

黒くなった街を俺は、あてもなくただふらついた。

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