劉裕104 進王爵諮問詔1

劉裕りゅうゆう長安ちょうあんを落としたときにもたらされた詔勅。豫章よしょう公がそう公となり、そしていよいよ宋王になりませんか、と言う諮問の詔勅が飛んできました。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888050025/episodes/1177354054888920543

関連はこの辺りです。



朕聞先王之莅天下也

上則大寶以尊德

下則建侯以褒功

 朕は聞いている、

 過去の王たちが天下に臨むにあたり、

 天帝より使わされた宝具を尊び、

 かつ爵土などを与えることで

 その功績を称えるものである、と。


是以

成勳告就 文命 有玄圭之錫

四海來王 姬旦 饗龜蒙之封

 例えば、大きな治水功績を挙げた

 王はしゅん王より黒の宝玉を賜ったし、

 各地の勢力を王に引見させるだけの

 功績を挙げた周公旦しゅうこうたんには亀山きざん蒙山もうざん

 すなわち泰山たいざんを擁するの地に

 封爵が与えられた。


翼聖宣績 輔德弘猷

禮窮元賞 寵章希世

明保沖昧,獨運陶鈞 者哉

 特に、王の治世を助け、

 その徳を大いに広めた者の

 報償は特上であるべきと言える。

 増して王者の不明をよく照らし、

 己が力にて運営に尽力した者であれば、

 なおのことである。


朕以不德 遭家多難

雲雷作屯 夷羿竊命

失位京邑 遂播蠻荊

艱難卑約 制命凶醜

 朕の不徳がため、国家には多くの

 苦難が襲いかかった。

 各地には天災が引き起こされ、

 夷羿いげいのごとき反逆者には

 天命を奪われ、建康けんこうを追い出され。

 ついに荊州けいしゅうの蛮族を調子づかせ、

 国の艱難は形を無し、

 逆賊に天命を与えるかのような

 形になってしまった。


相國宋公 天縱睿聖

命世應期 誠貫三靈

大節宏發

 劉裕殿は、まさに天より

 叡智聖徳をもって遣わされ、

 まさに天命に応じ、天地人の霊と共に、

 義旗を打ち立てられた。


拯朕躬於巢幕 迴靈命於已崩

固已道窮北面 暉格八表者矣

 そうして我が身を賊徒の巣より救われ、

 崩壊していた霊廟を再建され、

 国の体勢を立て直した後、

 誰よりも先に朕への忠誠心を示され、

 朕に代わり、天下を照らされた。


外積全國之勳 內累戡黎之伐

芟夷強妖之始 蘊崇姦猾之源

顯仁藏用之道 六府孔修之績

 外敵より国土を守られ、

 内部では多くの賊徒を討ち果たされ、

 また五斗米道を討伐した後、

 ついにはその大本すら陥落させた。

 仁徳ある内政改革により、

 一方では財政も改善。

 さらには歴代の晋の皇帝らの

 陵墓も修繕された。


莫不雲行雨施 能事必舉

諒已方軌於三五

不容於典策者焉

 易経の乾の卦にても語られている、

 雲行きて雨施さる、と。

 公の治績を讃えるに

 相応しき表現であろう。

 その規範の厳然さを求める態度は

 三皇五帝にも比しうるもの、

 その偉大さは、これまでの典籍の

 言葉ではとても表現し切れまい。




十四年十月,天子詔曰:

朕聞先王之莅天下也,上則大寶以尊德,下則建侯以褒功。是以成勳告就,文命有玄圭之錫,四海來王,姬旦饗龜、蒙之封。夫翼聖宣績,輔德弘猷,禮窮元賞,寵章希世。況明保沖昧,獨運陶鈞者哉!朕以不德,遭家多難,雲雷作屯,夷羿竊命,失位京邑,遂播蠻荊,艱難卑約,制命凶醜。相國宋公,天縱睿聖,命世應期,誠貫三靈,大節宏發。拯朕躬於巢幕,迴靈命於已崩,固已道窮北面,暉格八表者矣。及外積全國之勳,內累戡黎之伐,芟夷強妖之始,蘊崇姦猾之源,顯仁藏用之道,六府孔修之績,莫不雲行雨施,能事必舉,諒已方軌於三、五,不容於典策者焉。


(宋書2-37_賞誉)




龜、蒙之封

詩経の魯頌閟宮に「泰山岩岩,魯邦所詹。奄有龜蒙,遂荒大東。」って表現があるんですってーへー! また傅亮くんはそういうことする……。


龜山、蒙山はそれぞれ魯にある山のよう。蒙山はおそらく魯の南限に近い、臨沂りんし北西辺りの山を指すのでしょう。そうすると亀山はおそらく北限近くの山になるのかなあ。と思って調べてみたら泰山と蒙山の真ん中辺りのよう。


しかしいつまでもいつまでも桓玄打倒のことを褒め称えなきゃいけないとか、皇帝の傷口掘り返してるようなもんじゃないっすか……もはやいじめじゃね、こんなん?

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