可愛い年下の幼馴染が一緒にゴールしようと迫ってくる

三枝 優

幼馴染の部屋にて

「勇にい、今日はなんか暑いね」

 そう言って、ブレザーを脱ぐ幼馴染の由衣。


 確かに、今日は3月だというのに非常に暖かい。

 夕方の日差しを受けた2階の部屋は、3月と思えないほどの気温。


 受験も終わり、大学入学まで暇な俺は、由衣の部屋で勉強を教えている。

 由衣とは近所同士。子供のころからの付き合いだ。

 高校生の由衣がわからない所があるから教えて欲しいと頼んで来たのだった。まぁ、暇なのでOKしたのだが。


 今日は、おばさんは出かけているとかで家には二人きりだった。


「ところで、勇にいは彼女はいないの?」

 由衣が聞いてくる。


「いないよ、知ってんだろ」


 彼女がいたら、ここには来ていない。


「へえ、勇にいに恋愛についても教えてもらおうと思ったのになぁ」


 にやにやしながら、上目遣いで話してくる。


「恋愛って、好きな人でもできたのかよ」

「そういうわけでもないんだけどねぇ」


 口をとがらせる由衣。


「じゃあ、なんだよ」

「学校で、勉強していたら気になってね」

「気になった?なにが?」


 由衣はちょっと顔を赤らめながら言った。少し小さな声で。


「恋愛のゴールっていったい何なのかってこと」

「恋愛のゴール?」

「勇にいは恋愛のゴールって何だと思う?」


 体を寄せて聞いてくる。

 近い近い!


 おれは、ラノベで読んだシーンを思い出しながら言った。


「やっぱり、告白なんじゃないのか?」


 伝説の〇の下とか、キャンプファイヤーとか。


「え~~~~告白は、恋愛のスタート地点でしょ!」


 猛抗議された。

 むっとして言い返す。


「じゃあ・・・・・結婚とか?」


 それにも抗議してくる。


「結婚まで行ったら、恋愛じゃないと思うなぁ。その間じゃないかなぁ?」


「じゃあ、何なんだよ」

「だから、何だと思う?」


 告白と結婚の間って・・


「ファーストキスとか?」

「ううん・・・それもいいかもしれないけれど・・。それにしても暑いね」


 ベストを脱ぐ由衣。


「ファーストキスの後は、恋人とイチャイチャしたり。まだ恋愛が続く気がするんだよねえ」

「じゃあ、何だと思うんだよ」


 だんだん、嫌な予感を感じながら俺は聞いた。

 由衣がどんどん近寄ってきている。


「保健体育でね。気になったんだけど・・」


 真っ赤な顔になりながら、由衣が小さな声で話す。


「アレ・・をしたら。恋が愛に変わると思うの・・」

「アレ・・・?」


 話の展開が、危険な方に傾いている。

 これはなんだ、話をそらさないとな。


「そういうのはな、結婚できる年齢になってから・・・」

「私も勇にいも結婚できる年齢だよ?」


 しまった~。いつの間に。


「ねぇ・・勇にい。恋愛のスタートからゴールまで走り抜けてみない?一緒に・・・」


 この状況から抜け出すには・・


 ”勇は扉を開けて逃げ出した。あとに残った由衣はつぶやいた「ヘタレ・・・」”


 これだ!!



「ああ!今日は暑いなぁ!冷たい飲み物でももらおうかな!」

 棒読みでしゃべりながら扉にダッシュした。




 なに!鍵がかかっているだと!

 いつのまにダイアル式の鍵なんかが扉についているんだ!?



「大丈夫だよ、勇にい。ちゃんと避妊用品も準備してあるから」


 ゴム製品を見せながら、近づきてくる。

 いつの間にかブラウスも脱いでキャミソール一枚になっている由衣。


 なんだ、この状況!?

 ゴール前で、あとは押込むだけの絶妙なラストパス据え膳を受けたような状況!?


 ラストパスを繰り出してきた相手が抱き着いてきた。


「ね・・・勇にい。いいでしょ。

 私、勇にいと一緒にゴールしたいな」


 勇は、生唾をごくりと飲み込んだ。











 ゴーーーーーーーール!! 

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