とりあえず、推理を投下させていただきます。
間違ってて、なおかつ僕が思いもしない真相だったら、僕は後で(´・ω・`)ショボンします。
独り言形式で推理しましたので、ちょくちょく敬語が抜けますがご了承くださいませ。
ひとまず僕は、全員の条件はイーブンであるという考えのもとに推理を始めました。
この事件で特筆して怪しむべき行動をしていたのは修道女たちですが、その理由も後に判明しました。またその行動に関しても修道女の殺害に関するようなものではなく、あくまで実行可能性の可否という点において、全員の条件は等しく同じとします。
僕がまず考えたのは、死体を焼却した意味について。
証拠隠滅とも考えられるが、拝火教であるミト教徒であるならば、神罰の代行などの宗教的儀式である可能性もある。実際、エリスは洗脳されていたとはいえ、窃盗など罪人としての行動をしていた。
死体には扼痕があった。焼殺してから首を絞める意味はないので、扼殺→死体の焼却の順番だと思われる。死体を焼却した後でもこの流れは露見しているのだから、単純に死因を隠す以上の意図があったと思われる。
宗教的儀式という動機に断定するとしたら、やはり一番怪しいのは、信仰の鬼とまで呼ばれるマズロー。
彼は巨腕(6章その2では剛腕になってますが、巨腕でいいんですよね……?)という加護を持っているため、後述の条件にも当てはまる。
エリスとリノの殺人に関して、取り立てた資格は必要ない。夜に紛れて彼女らの首を絞めて殺害した後、死体を聖堂に運び、油をかけて焼却すればいい。
ここで用いた火はおそらく、聖堂に備わっている恒炎。まさか殺人を犯した後、灯りを持って外を移動する間抜けがいるとも思えない。この世界の文明レベルはよくわからないが、マッチやライターが気軽に使える時代ではなかったように思える。
必要性や利便性から考えても、恒炎を利用したと考える方が適切。
また、恒炎の火を用いて被害者を焼いたのなら、更に神罰の代行という要素が強まる。焼却の現場が見つからないようにするためという他に、犯人には恒炎を利用したいという考えがあったのかもしれない。
その場合、犯人には少し危険性が付きまとうことになる。まさか恒炎が触りやすい場所にあるとも思えない以上、犯人は死体を移動させて恒炎に触れさせる必要があるはず。しかし油をかけた死体をそんな風に扱っては、自分にまで燃え移る可能性がある。
しかしマズローならば、巨腕の加護を用いることによって、自らは安全圏にいながら死体を焼却することができたはず。
先ほど殺人に取り立てた資格は必要ないと言ったが、それは第三の殺人であるセラ殺害を除いての話。
精神状態を鑑みても部屋から出るはずのないセラが殺され、更に悲鳴も上げなかったという。事件後に部屋を調べた時は部屋に鍵がかかっていなかったというが、まさか鍵を開けっぱなしでセラが籠っていたとも考えづらい。つまり、セラに関してのみ、鍵の入った部屋を突破する方法が求められる。
これをできるのはもう、マズローの巨腕の加護しか考えられない。この加護がどのくらい威力を調整できるものかはわからないが、調整できるのだとしたら室内の鍵を開けるくらいのことはできるはず。部屋の中に巨腕が出現すればセラが叫んだ可能性もあるが、今回は巨腕で先にセラを殴って気絶させるなどしたのかもしれない。焼死体である以上、ある程度の傷、特に打撃痕は見逃されている可能性がある。
この推理で気になることが数点。
リノが言っていた、「はい、あの二人は嘘をついています。それに私も。みんな嘘つきなんです。本当に……ひどい嘘つき」という言葉。これは単に、質問の矛先を逸らすことで意図的に相手に誤解させるということを、嘘と表現しただけ? エリスの行動を皆が隠していたことを言っているのであれば、これは気にすることではなくなる。
マズローが審問をすり抜けたことに関して。
ハルがマズローにした質問は、
汝、エリス修道女を殺したか? 神の前に告白せよ。
汝、エリス修道女と事件当夜、聖堂で会ったか?
汝、エリス修道女の身体に油を撒いたか?
汝、エリス修道女の身体に火を点けたか?
文章にされているものではこの四つ。マズローが今回の殺人を神罰とか浄化とか考えているのなら、最初の質問にはもしかしたら引っかからないかもしれない。二つ目以降の質問は、聖堂ではなく部屋で会って殺害し、後のことは巨腕に全てやらせて、『私ではなくこの腕が悪いのです』理論で誤魔化している?
――これはがちょっと苦しい気がする。
作者はこのお知らせで犯人は偽証ができるし、それはアンフェアであると明言しているが、少なくとも加護を持っている時点でマズローがミト教徒であることだけは間違いない……はず。設定を勘違いしていなければ。
「罪を犯すのは、不信心の証なのです。そして、不信心者には罰を下し、その魂を浄化しなければならない。当然のことです」ってマズローが言っていましたが、これも上記の動機を補強する証言になっている気がする。
実際マズローは、罪人を幇助した妻を審察官へ引き渡ている。これと同じことをエリスの周りにいた修道女たちは行っている。
ただしマズローは、「私も調査に加わりたいところなのですが――犯人を見つけたら、一も二もなくその場で殺してしまいそうなので」と言っている。上記の通りマズローはミト教徒で間違いなく、僕の言った方法で審問をすり抜けたのだとしたら、普通に偽証はできないはず。
ただし、マズローがエリスを幇助した修道女全員を殺した後に、殺人を自白し自殺するつもりだった、という理由なら偽証にはならない?
……これも苦しい。
それから、セラの殺人に関する推理もやや恣意的な考え方が混じっていないとも言い難い。
……このくらいですかね。
とりあえず、僕の考えでは犯人はマズローです。
クラッドのことは、まあ……どっかで死んでるんじゃないかと思っておきます。なんなら、殺した後に巨腕で街の外に投げ捨ててしまえばなんとかなるはずですし。
クラッドもマズローに殺されているのなら、マズローがエリスの蛮行及び他修道女たちの背信行為について聞き出しているという流れも成立します。(たしかクラッドは、修道女たちが目撃していたのに気づいたようなそぶりを見せていたはず)
以上です。
僕の推理のやり方は、犯行が可能そうな人間に、犯行のシナリオを証拠に基づいて書き下ろしてあげるというアホな方法を取っていますので、割と恣意的な目線が混じります。
間違っていたら、盛大に笑い飛ばしてください。
それでは。後はもう解決編を待ちます。
作者からの返信
わーい、推理の投下ありがとうございます!しかもこんなに緻密な分析、、すごいの一言です。これだけ綿密に考えて、しかも文章にしてくださるのは作者とし感謝の言葉もありません(>_<)
ひとつだけ。犯人が偽証できるのは100%アンフェアと書いたのは、「犯人がどうやって偽証しているのかについては気にしなくていいですよ、犯人が誰だろうと偽証できる前提でオッケーです」という意味でした。なので、その理由まできっちり詰めてくださった白柳さんからすると、その部分の解決編は「おいこら待て」となるかもですが、どうぞ許してくださいまし(^^;)
それでは、楽しんでもらえることを祈っています。よろしくお願いします♪
編集済
問題編、楽しく拝読させて頂きました!
まったく自信はないですが、自分なりに推理してみましたのでその内容を以下に記します。
また、私より後に推理に挑戦される方へ、(抜けもあるかもですが)推理に必要そうな登場人物やルールを自分用にメモとして纏めたものも記します。
注意書きが出てくるまでは、未挑戦の方も参考にして頂いて大丈夫かと思います。
▼登場人物
ミナ 審察官/加護持ち(鉄槌、注意散漫)
ハル 審察官
(以下容疑者)
マズロー 司教/加護持ち(巨腕、下半身が不自由)
クラッド 落火/加護持ち(魅了、隻腕)
ロンゾ 審察官
ローザ 修道女
ノラ 監督官
ウェル 料理長
(以下被害者)
エリス 修道女/第一被害者
リノ 修道女/第二被害者
セラ 修道女/第三被害者
▼神罰のルール
・ミト教徒は偽証ができない(神罰が下る)
・自覚なき偽証には神罰は下らない
・偽証の意思があっても言葉の上で真実ならば神罰は下らない
▼加護の制限
・時間、空間、存在、生死への干渉は不可。
・一度に使える回数や持続時間には限りがある。
・自身の身体能力を上げる加護は無い。
・力学を超越することはない。
▼その他特殊設定
<恒炎>
加護によって作られた炎。
物理的に消えることがない。
浄化作用がある。
一年で自然鎮火するため、その間に着けなおされる。
▼死体の状況
絞殺痕がある。
全身が燃やされている。
▼その他明示されたルール
・犯人は偽証が可能
※この点は100%アンフェアであると明示されているので、ミト教徒だから、加護持ちだからなどの理由により容疑者から除外できるものではない。加えて、質問に対する偽証の方法についても今回は考慮しないものとする。
++以下、推理内容となるため未挑戦の方はご注意ください++
全ての事件において、被害者の叫び声が聞かれることはなかった。
また、犯人はミナとハルにすら部屋の扉を開けなかったリノ相手でさえ部屋から連れ出すことのできる人物である必要がある。
クラッドには、(最初から魅了をかけていたエリスはともかく)リノやセラを部屋から連れ出すことも難しかったはず。除外。
同様の理由から、ウェルもまた三人を訪ねて警戒なく部屋から連れ出すことは難しそう。除外。
逆に、他の4人ならばなんのかのと理由をつければ無警戒とまではいかないまでも連れ出すことくらいはできそう。上記ロジックでの除外は不可。
一部ではなく全身が焼かれていたのはなぜか?
例えば、被害者のうちいずれか、あるいは全ての死は恒炎によって焼かれたものではなく、神罰によるものだったら?
(神罰ならば、一部ではなく全身が焼かれていたことにも頷ける。油を纏わせたのは神罰によるものではないと錯覚させるため?)
どうやって神罰を下したのか?
クラッドを拿捕した犯人がクラッドを脅し従え、クラッドの魅了によりまず油を身に纏わせ、その後半強制的に偽証させた。
(これで神罰が下るのか、という疑問はあるが……一旦神罰は下ることとして推理)
クラッドが見つからないのは、偽証できる犯人が匿っているから?
だが、そもそもクラッドを拿捕し従えることができるのはマズローくらいでは?
そしてさらに、マズローであれば神罰が下った後、燃えている最中に巨椀により絞殺痕をつけることも可能そうだが、その他三人には難しそう。仮に神罰前に首を絞めた場合、偽証させることが難しくなる。ロンゾ、ローザ、ノラを除外。
これらの理由から、事件の犯人はマズローと推理。
>疑問点
マズローが犯人ならば、上記のように迂遠な方法を用いずとも、正当な手順を以って神罰を下すことができたはずでは?
この場合クラッドの協力は不要となり、クラッド所在不明謎がそのままとなる。
(しかし、どちらにしても神罰を下すのはマズロー以外には難しそう)
その他気になる描写として、
数か月の間に、4人もの司教に神罰が下っている。その内の一人は説法の最中に。
というような描写がプロローグにある。
→偽証すらしていないのに神罰が下った?
→信心に揺らぎが出た状態での説法が偽証と判定された?
事件のトリックに関連していそうではあるが、これをうまく絡めた推理ができず……。
ちょっと手落ち感半端ないですが、(現実的制限時間の関係もあり)これで解決編拝読させて頂きます!!
作者からの返信
わわ、推理の投下ありがとうございます!!しかも、こんなに分かり易くまとまったメモまで添えていただいて、、感謝と喜びに五体投地です!(>_<)
推理もさすが角増さんらしい消去法で、しかも偽証ができる理由まであたりをつけてくださって。むしろコメントを拝見しているこちらが楽しい思いをさせていただきました(^^)/
解決編がお口に合えばいいのですが(^^;)楽しんでいただけることを祈っています♪
ついでに言うと、作品は解決編のあとも少しエクストラステージ的な展開が続くので、よければ最後までお付き合いいただければうれしいです。