第2話    推しが可愛い

「はい、今月は文化祭があるので、期限までにに、持ってきてください。」


丸山先輩が『絶対』を誇張しながら言う。


おりひめちゃんが、『声を聞くだけで鳥肌が立ちます…』と言っていたのも頷けるくらいの、迫力のある声だ。


「話の内容は、『恋愛』にします!東雲くんだったら、実際に体験してるんだし、同性愛なんかどう?」


「え?体験なんてしてませんけど…」


首をかしげて言う。


「え!?多紀沢くんと、付き合ってないの!?」


すると心底驚いたという風に、丸山先輩が言った。


「はい、多紀沢くんは僕の推し様なので。」


「なんだぁ、そっか…」


見るからにがっかりとしている丸山先輩に、


「丸山先輩って腐女子じゃなかったっけ。期待してたんですか?」


と、おりひめちゃんが言った。


絶対怒られるよ…、と考えていると、案の定


「織!!ばらすなって言ってるだろ!」


と丸山先輩が怒鳴る。


「すいません、さよならっ!」


2人で急いでドアの方に向かう。


ガララッ


「丸山先輩、すいません!」


最後に振り向いて、挨拶をして出ようとすると


ドンっ


と何かにぶつかった。


「多紀沢くん…!」


ぶつかったのは多紀沢くんだった。


「いや、たまたま歩いてたらお前が転びそうだったから、受け止めようとしただけだからな!?一緒に帰ろうとなんて思ってないからな!」


「ありがとうございます!多紀沢くん。」


嬉しくなって多紀沢くんをギュっとする。


 推し様に触れられるなんて幸せだ…


「じゃあいっしょに帰りましょう!いつも友達として仲良くしてくれてありがとう。」


 尊い… 幸せ…

 

と、おりひめちゃんと丸山先輩が同時につぶやいた。


「天然タラシか…」






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自分の推しが最高すぎる 昼の猫 @hirunoneko92

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