第4話

いよいよ検定試験の日。

受かれば高校同等の学力が認められ大学にも受けられる。

試験を受けるには町へ戻らないといけない。

一言挨拶しようとタマオの店にハルが現れた。

ハルの姿に目を疑った。

髪は黒く染め、スーツを着ていた。

「がんばれよ」

タマオは余計な言葉で動揺させまいと普通に応援の言葉を投げる。

「それだけ? 私見て何とも思わないの?」

自分の変わった姿に声を掛けて欲しかった。

「それは試験が終わってからにしろ」

ハルの目をじっと見る。

それは初めて学習意欲を持たせようとさせた真剣の眼差しであった。

「わかったよ」

ハルは喧嘩でなく新たな挑戦を受ける目であった。

単車でなく叔母が運転する車で試験会場に向かった。

数日後、結果は合格。

来春の大学受験を受けられることになった。

単車でタマオのもとへ来たハルだが店は閉まっていた。

「え?」

人の影もない。

扉に挟んである封筒を見つける。

開いてみるとタマオからのメッセージだった。

ハルの頑張りのおかげでもう一度大学受験受けて自分の道へ進みたいと書いてあった。

戸惑うハルのそばへタマオが現れる。

「やはりここへ来たか」

「店はどうすんのさ」

「改装して私たちがやるよ」

そこに来たのはハルの叔母とタマオの母。

ふたりは昔からの同級生だった。

今回、タマオとハルが学生に戻るということで店は二人でやるという。

「俺も驚いたけど夢を繋げるのならと理解してもらった。そして来年からは同級生だよろしくな」

手を差しのべるタマオ。

躊躇しながらもハルは握手した。

「こっちも負けないよ」

「望むところだ」

ふたりの新たなスタートが始まった。

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不似合いなふたり 八田藍京 @mamitasu90

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