魔王サラは人間として生きたい

人魔双方の歴史において1000年間続いた暗黒戦争。

剣と魔法だけだった戦争に、人類の新兵器として火砲が持ち込まれ、50年足らずで900年に渡り拮抗した戦況は人類側に大きく傾いた。

魔族の領土・魔界にまで攻め込まれた魔族は名誉と挽回を賭けて最後の大戦を挑むも、魔王は勇者と一騎打ちを行い、戦死を遂げる。

それから50年。勇者はすでに死に、1000年間の暗黒戦争時代の空気も忘れられつつある『帝国』において、ある少女が産声を上げる。

祖母の緑髪碧眼を継ぎ、長じては魔王に迫るとさえ言われる強大な魔力を有した少女の名は、サラ・グレッグソン。トーラス村のサラ。

彼女こそ、魔王サライの魂をその身に秘める、いわば生まれ変わり。その意志は魔王そのもので、人間が築く世界を観察していた。

人類側の主神・…続きを読む