魔王サラは人間として生きたい

司書係

設定など

人物紹介


・サラ・グレッグソン

トーラス村出身の少女。

10歳の誕生日を前に両親と親友を失い、投げやりに生きていた。

精々、他人に迷惑をかけない程度に働くか、という程度に思っている。

転生した魔王の力と才能、記憶を持つことから、彼女が本気を出せばありとあらゆる困難は意味を為さないが、守るべきものは既に亡く、その気はない。

また、前世の血の因縁から『誘惑』『魅了』といった幻惑系魔法の暴走リスクをその身に抱えており、魔力の制御練習は行っている。

力の一端を見られたことから推薦された『アカデミー』で見聞を広めるため、村を出て人類の中心地『帝都』に到着。そこで、死んだはずの親友、エイミーと再会する。

共に『アカデミー』で学び、友人も増えてきた人生に満足しているが、力を見せすぎて多くの有力者に注目され、皇族の警護を掌る諜報組織『シーク』からは危険視されている。


・エイミー・アダムス

『帝国』西方領土で活動するギルド上級戦士の両親を持つ。

元々はトーラス村でサラと同じ年に生まれたお隣さんの幼馴染だが、村が襲われた際に実の両親が死に、村近くを通りがかった今の両親に拾われる。

両親について回って主に西方で多くの土地を旅した経験上、各地の事情に詳しい。特に、両親の名前がある西方では顔も広いらしい。

『帝都』でサラと再会した後、思った以上に破天荒な才能があった幼馴染の行動に舌を巻きながらも付き合っている。

二刀流の剣術は養父直伝、片腕ずつでも一刀一刀の太刀筋は強く相手を押し込めていく。


・クリスティーネ・ピュラシア・ラツィオネ

北方No.2の有力貴族、ラピュリア公爵家令嬢。

『帝国貴族の令嬢たる者、皆かくあるべし』と模範にされる程の風格を持つ貴族令嬢で、典雅な女性然とした性格をしていた。そう、サラやエイミーと出会うまでは。

剣の腕前も、腕に自信がある武門の名門貴族子弟に警戒され、あからさまに避けられる程の腕前を持つ上、身体能力そのものがエイミーと評価を二分する程に高い。

聖地生まれで魔力を色で識別できる能力を持つ母からはある特別な体質を受け継いでいる。その影響で動体視力が特別に良く、それが彼女の実力につながっている。


・サイアス・テピウス・ロドルバン

『帝国』軍部のトップ、騎士団総長の息子。

騎士団総長の一家ということでさぞかし名門かと思いきや、歴史は古いが吹けば飛ぶような世襲貴族最下層の騎士爵家の嫡男である。

そんな家柄で彼自身、武張ったことを嫌い、頭抜けた身体や剣技など傍目にわかる武勇を持たないように見えることから、多くの騎士たちに舐められているが身体能力は悪くなく、魔法の実力は確か。

彼の魔法技術はいつか、名をもらった勇者サイアスにも迫るだろうと、サラは魔王サライとして評価しているところ。


・ルルララ・ラエ・フェニキアグルン

東方の果て、魔界と人類の領域の境に生きる東方諸王国。

その中の一国、フェニキア王国の第2王女で、国から半ば厄介払いに近い形ながら『アカデミー』に留学生としてやって来た。

血のつながらない継母、横柄な家臣団に囲まれるなど碌でもない環境で育つも、苦労したが故にとても細やかな気遣いができる。

王族として驕った振舞いを見せず、むしろ誰かのために働くのが好き。暇さえあればサラの部屋で小間使いっぽく振舞う、厨房に入り込んで料理を振舞うなどしている。特に、料理は得意。

亡くなった乳母の甥である、家臣の中でほぼ唯一の味方として連れてきたカイのことを憎からず思っている。

直接的な戦闘力はほとんど持ち合わせないため、友達みんなで戦いに行くときは置いてけぼりになるのが悔しいらしい。


・カイ・シェン

フェニキア王国で『足軽』などと呼ばれる兵士階級の息子。

ただの兵卒の子であったが、母の姉であった王宮勤めの伯母がルルララ王女の乳母に選ばれたことから王女の乳兄弟代わりに幼馴染として4歳と幼少から側に在った。

伯母の末期の言葉で王女の行く末を託され、王女自身も強く望んだことから王女を護衛する側付きとして教育されることになる。

彼女の恋心までは気づいていないが、自分しかルルララを守る人間がいないと切実に気にかけており、色々動いていた。

最近は王女にとって助けになるだろう友人関係が少しずつ築かれていることに安心し、いつ切られても良いように各種の通信教育を始めた。

フェニキア王国の伝統的な戦闘術、打刀を右手で振るい、左手の盾で反撃を封じて堅実に戦う、という戦法を採る。


・ポーレット・キアラ・アンネローゼ・アウグストゥス

『帝国』皇帝の第1皇女にして、皇民を癒す聖女。

色々とお転婆なタイプで何十人と男を振った母后の気を継いで、父帝に認められていた相手にもかかわらず、既に3人の貴公子からの求婚を袖にする。

曰く、「わたくしは聖女として皇帝陛下と国家に侍る義務があるので、1人の男性に操は立てられないの」ということらしい。

聖女として初代皇帝『聖帝』エドワードの魔力を受け継いでいる。そのため、通常魔法には不可能な癒しの力、『白魔法』と呼ばれる癒しの奇跡を行使できる。

同腹の兄皇太子や異腹の弟妹とは個人として仲が良いが、彼らを担ぐ陣営の人間からは分け隔てなく臣民と付き合う姿、皆から愛される人格を脅威と見なされており、毒殺未遂が何度もあった。

やるぞやるぞと脅され、終いには本当に護衛の『シーク』を無力化、全滅させられて、サラの力に俄然、興味を掻き立てられている。


・ドズラ・ブルック

元『帝国』騎士。騎士四天王『西の大盾』。また、その戦績から『諸国民の大盾』とも。

数年前まで現役だった。現代における最強レベルの騎士だが、退役した今は孫の御守りやおむつ代稼ぎに精を出している。

まだ新兵時代に『暗黒戦争』末期の勇者による魔界逆侵攻に従軍している最後の世代で、勇者と魔王の一騎打ちを目撃した。

その人生が伝説の中に片足を突っ込んでいるため、自身も少々浮世離れしているのだが、その自覚は薄く、自分は常識人だと思っている。

『投擲剣』フラガラッハは『偉大なる一撃グレイテストヒット』の呼び声も高く、万の軍勢を正面から刺し貫いて敵の王を討ち取る威力を誇ると称えられる。


・サマルカンド・サライ

第9代の魔王。

魔王は常に外の血を求めており、サライの前まで8代の間に多くの種族の血が入っており、様々な特徴が出ている。

父の8代魔王は有翼族系だったし、祖父の7代魔王は強力な魔力を有するサキュバスを娶っているなど、能力を取り入れるのに節操が無い。

その執念が結実したサライ本人は魔王としてすら膨大な魔力量を誇り、人類では到底、扱えないような『神霊級』魔法を連発する。

その力は地形どころか地名そのものを消滅させたことも少なくない。


・オスロ・マックス

ムーンベア族の指導者一族。

魔王サライの忠臣、オイゲン族長の三男で、兄弟の中でも特に体格が良く、力だけなら父親の最盛期に近づけると言われていた。

元々は実直な武人然とした青年魔族だったが、味方だったはずの旧魔王軍の同志たちに父がだまし討ちにされてからは荒れている。

最期にサラと、魔王にふさわしい力の持ち主と出会い戦えたことで己と部族の死を受け入れ、満足と感謝の内に冥府へと迎えられた。



用語など紹介


・魔法陣

生物が魔力を扱う時に必ず発現する。植物が何かしらの魔力反応を示す時もあるが、その時も魔法陣は現れる。

自我のある生物は1つ以上の魔法陣を扱う。魔力が高いと10も20も同時に扱える場合があり、通常は魔力の高さと扱える魔法陣の数は比例する。

魔法を行使したその場で消滅するのが基本だが、魔力とともに物体に刻み付けると魔力が切れるまで魔法を行使できる状態にし続けることができる。


・魔力回路

脳を持つ生物が体内に持つ永続的な魔法陣。魔法回路とも。

魂とつながって外界の魔力の元、魔素を吸収、魂が発するエーテルと掛け合わせることで魔力を生み出せる。

一般的に言われる魔力量とは魂が一度に生み出すエーテルの量と魔力生産の効率を指す。どちらかが劣るなら一度に生産できる魔力は少なくなり、魔力量が豊富とは言えない。

魂とは密接に結びついており、魔力回路に無暗に手を付けた場合はその対象者の魂は消滅の危機に瀕する。そのため、神族にのみ許された禁忌=『世界の真理』とされている。


・『帝国』

サラたちが暮らす国。作品の主な舞台となる。

大陸の西方に位置し、東方、西方、南方、北方の『帝国4大区分テトラルキア』地方州に『帝都』を擁する直隷州の5つの区域に大別され、それぞれに貴族が属して領地を構える。

※経済は?

『帝国』製金貨1枚が4人家族1つを1年間食べさせることができる金額とされ、平民の一世帯分の税金はおおむね金貨1枚が基本となる。つまり、人1人が生きていくためには最低でも銀貨5枚程度が必要。(銅貨100枚=銀貨1枚、銀貨10枚=金貨1枚)

旅でもしない限りはこの通りで暮らせるが、旅をすると移動のための馬車代金や食費、宿泊費が嵩み、加速度的に金がかかる。

※軍事は?

国の直轄兵力として『騎士団』が存在している。

帝室に仕える騎士は上級兵種の騎兵や宮廷近衛専属であり、街の兵隊さんは下級兵種で兵士。騎士は一般部隊だと最低でも分隊長からスタートする。

一般部隊は512人を定員とする中隊を基礎単位とし、『ケントゥリア』とも呼ばれる中隊長は戦術単位で尊重される。

大隊長、連隊長、軍団長とポストがあり、軍団長は1万人近い軍勢のトップに位置する。連隊長以上を将軍とも呼び、入隊時一般兵区分者は大隊長以上にはなれない。

東西南北の管区に2個軍団ずつが配され、それぞれ管区担当騎士将軍(西方騎士将軍など)の指揮を受ける。

直隷州には3個軍団が置かれ、『帝都』近郊には常に1個軍団が常駐する。2個軍団はそれぞれ地方州管区の変事に即応態勢を取る。なお、憲兵や宮廷近衛などはこれらとは別勘定。

都合101376人が現在定員となる『帝国』正規兵、憲兵や近衛がやはり1個軍団程度の規模なので、『帝国』兵力は12万人が基本となる。

魔王討滅後は軍縮を進めており、この数十年で3万人が削減された。かなり厳しい遣り繰りを強いられている管区もあるらしい。

※地理は?

帝国4大区分テトラルキア』で大雑把に区切られたように見えて、4管区はそれぞれ区域ごとにはっきり分かれた特徴を持つ。

1.東方

東方は高温多湿、四季のある地域が多い。稲の生育に適しており、一番暮らしやすい管区だと公言する者も多い。

ただし、魔族との『暗黒戦争』の戦場であった期間も長い。地域の豊かさにはかなりムラがあり、辺境は極貧。

東方辺境の先、人類と魔族の勢力の狭間に生きる東方諸王国の国々もまた、貧困にあえぐ国と、宗主国的立場にある『帝国』との心理的距離の近さから裕福な国とに分かれた。

2.西方

西方は乾燥ぎみだが、気候の変化が穏やか。人心も穏やかで、この点をもって西方こそが安住の地だと主張する者も多い。

『暗黒戦争』では主要な戦場から遠く、人類側の策源地としてあり続けた。戦いから遠かったため、豊かな地域が多い。

良質な麦を産出する一大穀倉地帯をいくつも抱え、豊かさ故か実は魔族との共存が一番進む管区でもある。

初代皇帝『聖帝』を産んだ土地であり、今も歴代皇帝の帝冠を作っている『聖地』を抱えた地方である。

3.南方

サラの故郷。

大陸の南に位置しているため、1年を通して高温多湿。稲の生育に向くが、麦作に傾倒している他、レタスや商品作物など実験的な作物に力を入れる地域が多い。良く失敗しているが、ものになった作物もあり、特産品は多い。

表面上は明るいが、内向きには朴訥、真摯に帝室を崇拝する人が多い土地柄で、良く言えば我慢強く、あえて言えば変化が苦手。

争いを拒む人が多い土地ながら、古来から優秀な戦士を輩出しており、最近では勇者サイアスや騎士四天王ドズラなどは南方出身である。

4.北方

大陸北部に位置し、ある貴族令嬢曰く、一年を通して暖かいと言える日は1週間程度らしい。

それだけに心身が鍛えられた戦士を多く有しており、北方2軍団は『帝国』最強との呼び声高い。

大した特産は無く、麦の生産高も恵まれないため経済的に苦しむ貴族と領内の産出資源に恵まれた貴族とに大別されている。貴族間の対立がある管区。

クリスが腹案に持つ北方東部での稲作はそうした対立緩和のための施策で、公爵・軍務卿と北方や軍部でトップにある父の悩みを解消しうると満を持している。

5.直隷州

大陸中央西寄りに位置する『帝都』を擁する。

本来は『帝国4大区分』に無く、『帝都』のみが点として存在していた。帝権の発達と街の発展に伴い発足したとても少ない面積の管区。

※国のデータなど

人口:2億人程度(内、皇族95人、爵位保有者10542人)

国家予算:金貨1億98枚(前年度執行額)


・武器のランク

この世界の武器や道具には、様々なランクがある。

それにまつわる逸話、かけられた魔法や呪いによる能力で様々な格付けがなされる。

『英雄器』→『魔器まき』→『逸話持ち』→『上級器』→『平器』→『悪器』

上記格付けは、左に行くほど上級。英雄器ともなると世界に十数個しか存在しえない伝説の格となる。

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