美少女アレルギーの俺が、学園一の美少女と付き合うことになった件

本村楓

プロローグ

『人間は皆平等』

というが、それは嘘だと常に思う。

たとえばもし、本当に平等ならば、いじめなんて起きないし、

格差社会も存在しないと思う。

それに、容姿や学歴などの格差もないと思う。

この世にいる全ての人間は、いくつかの分類に分けられていると思う。

イケメンな男子、ブサイクな男子

絵に描いたような美人な女子、そしてそこまで可愛くない女子。

頭が良い人と悪い人。

運動が出来る人と出来ない人。

健康な体を持っている人、そうでない人。

皆、赤の他人から勝手に評価をされる。

考えてみて欲しい。

もし世の中の男性が全員イケメンなら、櫻井翔をイケメンと思うか?

もし世の中の女性が皆美人なら、広瀬すずを美人だと思うか?

思わないだろ?

えっ?

捻くれすぎだって?

それもそうだ。

どうして俺がこうなってしまったのかというと、今思い出すのも癪だが、

中学一年生の頃、好きな女の子に嘘告されたからだ。

それは忘れもしない中一の二学期。季節は、夏から秋に変わろうとしていたある日の放課後、帰り支度をしていた俺に

「あの、有川君。」

ある女子から声を掛けられた。

彼女の名前は、桃田胡桃(ももたくるみ)

当時、学年一の美少女と評されていた女子だ。

「もっ、桃田さん!?」

突然の声掛けに、俺の心臓は、ドクドクと心拍数が上がる。

だってそうだろう?誰だって好きな人に声を掛けられたら、ドキドキするって。

「話があるの。ちょっと付いてきて」

「うっ、うん」

彼女の言葉に戸惑いつつも頷く。そして俺が連れて行かれた場所は、屋上だ。

「あのっ。話って?」

まだドキドキと高鳴っている心臓を抑えつつ、平然と彼女にそう聞く。そんな彼女は、モジモジとしていたが、意を決して俺の顔を真っ直ぐに見つめると、

「あのね、私…有川君の事が好きなの。だから、私と付き合って」

と言い出した。

「えっ…?本当に?」

思わずそう聞く俺に、彼女はコクリと頷いた。

その時の俺は、天に昇るような気持ちになった。

だってそうだろ?好きな子から告白されたんだからさ…。

「うっ、うん。俺で良ければ…」

そう返事を返した時、

「きゃははは。引っかかった」

「騙されてやんの!」

「だっさ~!」

そう声と共に、入口の方から複数の女子の笑い声がした。

慌てて入口の方を振り返ると、桃田さんといつもつるんでいる女子がそこに立っていた。

「あっ、あの。桃田さん、これはどういう…」

そう尋ねる俺の言葉を遮り、

「バーカ、この告白を真に受けるとか気持ち悪いんですけど。嘘に決まってるでしょ。これはね、罰ゲームなのよ」

とさっきの可愛らしい態度とは真逆の態度でそう言う。

「ばっ、罰ゲーム!?」

「そうよ。あの子たちとゲームしていてね。負けた方があんたに告白するって言う罰ゲームなの。なのに、真に受けるとか本当に気持ち悪い。大体、あんたと私じゃあ合わないのくらい知っているでしょ?」

彼女はそう吐き捨てると、友人と一緒に屋上から去って行ってしまった。

その場に取り残された俺は、騙された事に悔しくて握り拳を強く握った。

『もう、美少女や美人な女子とは関わらない!』

そう強く心の中に決めた。

この日以来から俺は、美少女アレルギーとなってしまった。

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美少女アレルギーの俺が、学園一の美少女と付き合うことになった件 本村楓 @kaekae1106

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