ゴールが見えて来ると他のゴールも見える
大黒天半太
一つの祭りのゴール
ゴールが見えて来たKAC2021 カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ2021、十本目のお題がKAC202110「ゴール」とは洒落ている。
外に行けず、おうち時間が増えたのと、しばらく何も書けてなかった状況を打破するため、小説を書くためのツールとしてお試しで始めたカクヨムだったけど、やっぱりこういうお題投稿系のお祭りはちょっと投稿者の昔の血が騒ぐ。
三月八日から三月三十一日までの二十三日間で、十本のお題、千二百文字以上四千文字以内、そしてお題の変化球の振り幅の広さ。これだけでも結構無茶な設定だが、一つひとつ対峙して来て、それなりにここまで来ている。
久しぶり過ぎて、息も絶え絶えのマラソンコースを、制限時間いっぱいいっぱいで走り続けたようなもので、ゴールに制限時間内に辿り着けるか=お題十本全て応募規定内で投稿できるか、という完走目的にいつの間にか気持ちが行ってしまった。
マラソン選手の走りのようにコンスタントに書き続けられるかというと、自分がそのタイプでないことも今回自覚させられた。
夜のPCからと昼間のスマホからの書き込みでは、集中力も操作性も異なって、同じ一本の続きを書くのにも苦労した。
まず、ネタありき。そのネタに向かって書く。
42.195kmのペース配分とかでなく、とりあえず思いついたネタに向かって全力疾走して、失速したら、あるいは書いてしまったら、またダラダラ歩く。
九本の小さなゴールを、給水所や折り返し点や友人知人の応援とかの節目節目だけちょっと元気になりながら、最後のゴールに向かってとりあえず前進し続ける。
自分にとってのゴールは、まさにたくさんの書き手がタイムを競い次々と華麗なフォームで駆け込むゴールに、よろよろと進みながら制限時間内に辿り着こうとしている感じ。
改めて、こうしたサイトの書き手の多様さを思い知らされる。
別の誰かにとってKAC2021のゴールと言えば、マラソンのゴールではなくサッカーのゴールのようなもので、自分が見事なシュートを一本決めるためのものだったりするんだろうし、多分ハットトリックを決めてる書き手だって少なくないんだろう。
自分がゴールだと思っていたものが見えて来たことで、改めてゴールの意味も形状も違う書き手たちと競っているのに、気づかされた。KAC20216「私と読者と仲間たち」で書いたように、私自身は底辺ユーザーなので、実際は競えてもいないのだが。
マラソンだと思っていたから、一本を四千字に絞り込むために、苦しみながら展開を一つ削除して、オチ一つに収束させた。
なぜ、切り捨てた?
いや、なぜ切り捨てて一本にしなければならないと思った、私。
一本にまとめようとしたから入りきれなかったけれど、分割して、始まりは同じでも違う展開になる二本を、書いたってよかったのかもしれないと、今更気付く。
発想を自由にさせられなかった。
直観で書き始めたものを、推敲と称して自ら否定したようで悔いが残る。
これが老いってヤツなのか? 自分がまだまだと思っている時にコレなのは、ちょっとしたホラーだ。切り捨てた中に、切り捨てちゃいけない尊いものは無かったか?
書くのは究極のソロ活だから、全ては自分に戻って来るわけだが。
え、『21回目』? 真面目に書いてるんだから、それは流石に唐突過ぎて文章に織り込めないよ。お題の九つまでは盛り込んだのでこのくらいで勘弁してください。
ゴールが見えて来ると他のゴールも見える 大黒天半太 @count_otacken
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