後編、人生で最後の
あそこしかない。人生で最後を飾るソロ旅の目的地は。
遂に人生統括と言えるソロ旅の行き先が決まったのだ。
そこは自然豊かで有名な場所。にも拘わらず、人は少ない。もちろんソロ旅を行う上での目玉もある。渡し船だ。今では観光地でもない限り、珍しいと言える渡し船が運航している。無論、そこは観光地ではない。だからこそ期待できる。
しかも、
渡し船で川を渡った先は風光明媚で百花繚乱な景色がお出迎えしてくれるという。
うん。ここだろう、ソロ活動を締めくくるべき場所は。
ぐぐっと音を立ててビールの残りを一気に飲み干した。
それからの俺は、最後のソロ旅の為に準備を進めた。最後であるからこそ後悔がないようにと入念にチェックを行い無事に成功するようにと心する。心残りを一つずつ潰してゆく。時間をかけてソロ旅へと向かってゆく。逝く。そして、遂に……、
ソロ旅を行う日が、やってきた。
さあ、では、ゆくぞ、ソロ旅へ。
俺はベッドで横なりつつ微笑む。
周りには誰もいない。
俺はソロマニアだから孤独は怖くない。一匹狼こそ生き様なのだと、また微笑む。
隣にキャップセット。
一緒に棺桶に入れて燃やしてくれと遺書を遺しておく。
そうして静かに息を引き取った。
そののち、旅立つ、あの世へと。
俺のソロ旅が始まったのだ。三途の川原へ向けて……。
その後、キャンプセットも無事にというべきか、遺書に則って一緒に燃やされた。
人生最後のソロ活動を行い、あの世に旅立った俺。燃える器を見つめる。その顔つきは、自分で言うのもなんだが、とても満足そうに見えた。そして燃える器に向けて手を振って、ワクワクしながら、俺は、この世から徐々にロストしていった。
人生最後のソロ活動を愉しみに。
ここから、孤軍奮闘の冒険活劇な異世界転生などは始まらないので悪しからずだ。
お終い。
ソロマニア 星埜銀杏 @iyo_hoshino
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