第5話 最後の授業
夢のように楽しかった4週間は、あっという間に過ぎてしまいました。
今日は、アユン先生の最後の授業です。
「みんなは、コペルニクスという科学者を知っていますか?私は、コペルニクスのことをとても尊敬しています。」
そう言ってアユン先生は、いつものようにイラストを見せてくれます。
「昔は、地球が宇宙の真ん中にあって、太陽のほうが動いている、とみんなが信じていました。これを天動説と言います。でもコペルニクスは、そうじゃない、太陽が動いているんじゃなくて、地球のほうが動いているんだ、という地動説という考え方を世界で初めて言ったのです。1543年のできごとです。コペルニクスは、地動説について書いた本を出版した同じ年に、70歳でこの世を去りました。」
「みんなが信じているからといって、その考えが正しいかどうかはわかりません。そんな中で、自分が正しいと思う、みんなと違う意見を言うのは、とても勇気が必要だったと思います。実際、地動説を支持したガリレオ・ガリレイが、宗教裁判にかけられた話は有名ですね。」
「私は、みんなにコペルニクスのように、みんなが信じているからではなくて、自分が正しいと思えるかどうかをちゃんと考えられる、そして、どんなにまわりの意見が違っていても、自分が正しいと思えることを、正しいと思うときちんと伝えられる大人になってほしいと思っています。4週間、本当に楽しかったです。ありがとうございました。」
最後の最後まで、アユン先生はやっぱりアユン先生でした。
あれから10年近くが経って、ピルくんはコペル、アユン先生はアヤ先生と名乗って、二人でコペルくんwithアヤ先生、というコンビを組むのですが、それはまた、別のお話しで。
キムチとクジラとコペルニクス @koper_aya
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