第9話 記憶のスキル


冒険者とは、師匠に認められ冒険に行く事が許されている人の事を言う。

冒険に出発する時、師匠から刀を渡されてその刀を持ち冒険に出るのが伝統である。


その刀には、大剣や双剣などいくつかの種類がある。

そしてこれから行われるテストは、その冒険者として冒険に行く事を許すか許さないか判断するためのテストである。


師匠は4人の弟子にそれぞれ練習用の刀を渡した。


「よし!まずは4つの基本スキルから見せてくれ!」


人間のスキルは、2つの攻撃スキル、防御スキルそして回復スキルの4つの基本スキルに分けられている。

人間はスキルを発動する時両手を前に出して行う。前に出した両手に魔素を集中して集め、魔素をそれぞれのスキルに変換する。

人間は基本的に魔素の量が少ないためこの4つのスキルは、人間の魔素量でも連続して使用できるように改良されたスキルである。


1つ目

スキルアビリティ 炎舞


魔素を炎に変換させて、円を描くように炎が発射される。

基本スキルの中で魔素の消費量が一番少ない。


2つ目

スキルアビリティ 水盾


魔素を水に変換させて、指定の大きさで水の盾を形成する。魔素の量により強度を変えることができる。

基本スキルの中で1番習得するのが簡単。


3つ目

スキルアビリティ 葉緑刀


魔素を葉緑体に変換させて、刀に纏わせる。

葉緑体が纏った刀に触れた場合、その者の魔素を葉緑体が吸収する。

吸収した魔素を自分のスキルで使用することができる。

吸収した魔素を使用せずに葉緑刀を解除した場合、魔素は消滅する。

(魔素の保存先は自分ではなくて、あくまで刀の中である。)


4つ目

スキルアビリティ 回復球


魔素を回復薬に変換させて、球の形の回復薬が形成される。

この球は指定の物体に触れた時のみ、回復の効果が発動される。

基本スキルの中で1番習得するのが難しい。


以上が4つの基本スキルである。


すると、1人ずつ名前が呼ばれ師匠の前で基本スキルを見せていく。


「ヘディ!」


「はい!」


そう言うと、1つずつスキルを発動していく。


目の前にある木を、炎舞と葉緑刀で攻撃しそれを回復球で元に戻す。最後に水盾で盾を作りテストが終了した。


どのスキルも安定に発動できていることがこの俺の目でもわかるくらい、安定していた。


その後も、セラ、レオ、と順調にテストを終えていった。

そして、とうとうモリィの番がやってきた。モリィは記憶のスキルしか使えないと言っていた。

正直めっちゃ心配している。


「モリィ!」


「はい!」


すると、モリィは記憶のスキルを発動しはじめた。

少し弱体化したような、炎舞と葉緑刀を発動しそれを少し小さめの回復球で元に戻し、少し小さめの水盾を作り試験は終わった。

俺はモリィの記憶のスキルがどのようなものか知らなかったのでルビに聞いてみた。


ルビ!スキルアビリティ 記憶を解析できるか?


《はい。スキルアビリティ 記憶 スキルの中でも希少な一部がまだ謎に包まれたままのスキルです。

現在わかっている効果は、こちらです。》


スキルアビリティ 記憶


魔素を消費して、一度視界に入ったものを脳内のタンスに整理して置ける。

記憶を得る条件は多数あるがまだ全てはわかっていない。

整理した記憶を、自分以外の人に伝えたり、見せたりする事ができる。

さらに、記憶されているスキルをコピーとして発動させる事ができる。(多少弱体化する。)


なるほど。今わかっているのはこれだけと言うことか。

まあ、とりあえずテストは無事終わったしあとは結果だな。


師匠が椅子から立ち上がり、大きな声で


「よし!今日の授業はここまでだ。テストお疲れ様。テストの結果は後日みんなに発表する予定だ。次の授業は発表する日にする予定だから、後日また報告する!解散!」


授業が無事終わると、モリィは俺に自分のスキルはどうだったか聞いてきた。


「コウモリさん!私のスキルどうだった?びっくりしたでしょ!」


最初はね。でもすぐに解析して記憶のスキルだって事がわかったよ。それにしてもすごいねそのスキル。まだ謎に包まれてるんだってね。


「流石。コウモリさんのスキルはすごいね。ぜんぶお見通しなんだね。そう、私のスキルはまだ謎に包まれていて、自分でもわからない事が多くて…

もしかしたら私がスキルを習得できないのにもこれが関係してるのかもしれない。」


大丈夫だ。きっとスキルを使っていくうちにわかってくる事が必ずある。だから慌てないで。


俺はモリィを安心させるように言葉をかけた。

モリィは少し肩の荷が降りたような顔をし、いつも通りの笑顔で俺のことを見てきた。


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授業も終わり、丘の上で休憩をしていると、なんだか街が騒がしい。何かあったのかなと街を見てみるとみんなが慌てて逃げていってるのがわかった。

俺は何が起きているのか詳しいことはわからないが、何から良くない事が起こっていると言うのは考える間も無くわかった。


俺は急いで丘を下り街に向かった。










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俺の転生先が定まらない 〜迷転生者として異世界に転生しちゃった俺は、希少スキル「記憶」を持つ異世界人と出会い魔王を討伐する〜 熊手マコト @T4-clock

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