第8話 モリィの秘密


俺は今、息が切れて酸素が吸えなくなるくらい走っている。そう、どこかに行ってしまったモリィを探しているのだ。

よくある恋愛映画とかだと、必ずどこかに思い当たる節とか思い出の場所があってそこに行くと会えるみたいなのが定番だか、俺の場合、モリィと出会ってまだ1日もたっていない。

思い当たる節がないので手当たり次第探している。


なかなか見つからない中、街を一望できる丘の上で休もうと思って丘を登ったら、体育座りをしながら顔を伏せて泣いているモリィを見つけた。

ゆっくりと近づいていって、優しくモリィに話をかけた。だが、顔を上げてくれない。

何があったのか聞いてみたのだが何も喋ってくれない。

俺はどうすれば良いのか分からなくなった。

しばらく気まずい状況で隣に座っていると、モリィが顔を上げて俺に謝って来た。


「コウモリさん。ごめんね。」


急な謝罪になんと言えば良いかわからなかった俺は、全然大丈夫という意味で首を横に振った。


するとモリィが自分に何があったのか話してくれた。


どうやらモリィに暴言を吐いていた男女3人は、モリィにスキルを教えてくれている師匠の弟子であり、同じ師匠に教わっているのにモリィはスキルを使えない事で暴言を吐かれたらしい。


俺はそれがとても許せなかった。どうにかして解決してあげたいと思った。

するとモリィが


「今日もスキルの授業があるの。私、頑張って授業行くからコウモリさんもこない?」


俺みたいなコウモリが行っていいのか一瞬考えたが

俺はすぐにOKを出した。

するとモリィは少し嬉しそうに授業の場所まで案内してくれた。


授業は街の中でも一番大きい公園でやるらしい。

一番乗りで公園につき授業が始まるまで待っていると、またあの3人組が来た。

また暴言を吐くのかと思いきや、何も言ってこなかった。俺がいたからなのかもしれない。

その後も何事も無く待っていると、師匠と思われる人が来た。


師匠は、大きな声で「あつまれ!」と言うと点呼を取り始めた。


「ヘディ!」


「はい!」


「セラ!」


「はい!」


「レオ!」


「はい!」


「モリィ!」


「はい!」


全員の名前を呼び終わると、師匠は俺の事を眉毛を寄せながら見てきた。


「お前は、誰だ?」


するとモリィが説明してくれた。


「この子は、私の友達です!私が授業に誘いました。一緒にやりたいんですけど、見学でもいいので参加させてくれませんか?」


「モリィの友達か、いいぞ!お前、なまえは?」


名前を聞かれた俺は気づいた。この世界では俺に名前が無かった。なんて言えばいいか、急いで考えた。

すると


「この子は、セイク!」


モリィが俺の名前らしき言葉を師匠に言ってくれた。俺はなんだか名前をつけてもらった気分で、少し嬉しかった。


「よしわかった。セイク!今日はテストの予定だから、見学をしててくれ。」


そう言われると、俺は師匠の隣に椅子を用意されそこに座った。


授業が始まり、一人ずつスキルのテストが始まった。




とうとうコウモリさんに名前がつきました!


ちなみに弟子の3人は、ヘディとレオが男でセラが女です!

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