第60話 ひみつ(3月15日)

ピンポーン


げんかんのチャイムがなった。


ねえちゃんに


きのうのつづきだといって、


オセロゲームにつきあわされていたぼくは、


まけてばっかりで もうやめたいとおもっていたから


ラッキー。



「さとちゃんかな?まーくんかな?」ってわざと大ごえでいって


げんかんにむかった。


ほんとにまーくんやさとちゃんだったらうれしいな。


そうおもいながらはしっていくと


おかあさんが


「あ、カズ、おともだちよ。」っていって


みるとじゅんくんがげんかんにたっていた。


「え!じゅんくん!??どうしたの!!??」



「こんにちは。きょうは おねえさんに 


ホワイトでデーのおかえしをもってきました。


おくれてしまってごめんなさい。」


じゅんくんはおかあさんにそういって


ぺこりとおじぎをしてにっこりわらった。


おかあさんがうれしそうに


「すこしあそんでいったら。」


とじゅんくんをさそう。


「ありがとうございます。おじゃまします。」って


じゅんくんは なんのえんりょもなく いえにあがりこんだ。



ぼくはじゅんくんを こどもべやにあんないした。


「じゅんくん!!」


ねえちゃんがびっくりしてよろこんで


こえがいつもよりたかくて きもちわるかった。



「ほんとうはきのうのうちに もってこようとおもったけど


おおぜいにかえさなくちゃいけなくて


いえがわからなかったから


きょうになってしまって・・・ごめんなさい。」


ってじゅんくんがあやまった。



じゅんくんはバレンタインに


いったいいくつのチョコをもらったんだろう。


じゅんくんは もってきた大きめのかみぶくろの中から


カラフルなおかしをとりだして ねえちゃんにわたした。


ピンクときいろと水いろのおかしが とうめいなふくろにはいって


きれいにピンクのリボンがかけてある。


「きれいなクッキーだね。」


っていうと、じゅんくんが


「これはマカロンっていうんだ。」っていった。


ねえちゃんはマカロンをもらってすごくよろこんだ。


ウキウキごきげんで


3人であそぼうといいだし、


3人でババぬきをした。



じゅんくんはぼくのことを


「カズ」ってよぶ。


トランプしてるときもふつうに「カズ」ってよぶから


ねえちゃんが


「ふたりはなかよしなんだ?」


ってきいた。


クラスもちがうし そんなにあそんだこともないけどじゅんくんは


「はい!」ってげんきよくへんじをした。


・・・・


やっぱりじゅんくんってすこしかわってるよな・・・。



3人であそぶババぬきはやっぱりたのしかった。



たくさんあそんで


じゅんくんがかえるという。


そしてかみぶくろのなかから


もう一つマカロンのふくろをとりだした。


「これ・・・・えっと・・・あまったんだけど


カズにあげる!」


そういって マカロンをぼくにさしだした。


なんだかじゅんくんのかおが あかくなった。


そして はずかしそうににっこりわらった。



「てんし!かわいい!!」


ねえちゃんがまた たかいこえでいった。


「あ、ありがとう・・・。」


ぼくはマカロンをうけとった。


ぼくのはきいろとうすむらさきとピンクのマカロンで


きいろいリボンがかけてあった。



じゅんくんはかえりぎわに


「カズんちがようやくわかったから、


こんどまたあそびにきてもいいかな?」


っていった。


ねえちゃんが


「いいよ~!!いつでもきて!!」


っていった。


ねえちゃん・・・・ぼくがきかれたんだけど・・・!!



じゅんくんはさわやかにあいさつして かえっていった。


「マカロン、おいしいよ!」


ってねえちゃんがいうから


ぼくもたべようとおもって リボンをほどこうとしたら


うらに小さなもじがみえた。


が・・ず・・・・


カズってかいてある。



え・・・!!



「ねえちゃん、ねえちゃんのリボンみせて。」


ぼくはねえちゃんの ピンクのリボンを手にとった。


うらに小さく「にしのさん」ってかいてあった。



「なに?どうしたの」


「なんでもないよ。マカロンおいしい?」


ぼくはねえちゃんにリボンをかえした。



じゅんくん


あまったっていってたけど


これ


もしかしたら


ぼくように


わざわざよういしてくれたの?



そうおもったら


なんだかちょっとドキドキしてきた。





ぼくはつくえの上に


マカロンのふくろをおいた。


まーくんのクッキーのふくろ


さとちゃんのクッキーのはこ


じゅんくんのマカロンのふくろ・・・。


3つならんだホワイトデーのおかえし。


ぼくはじゅんばんに一まいづつだしてたべた。


じゅんくんのマカロンはいろがきれいでクリームがあまかった。



まーくんのクッキーをたべる。


さとちゃんのくっきーをたべる。


じゅんくんのマカロンも


どれもおいしい。



じゅんくんからマカロンをもらったことは


なんだか、だれにもいっちゃいけないきがした。



じゅんくんとは


これから


たくさんあそぶことになるのかな?


でも、じゅんくんとあそぶと


まーくんやさとちゃんとあそぶじかんがへるから


じゅんくんもいれて4にんであそべばいいのか・・・。


でも、じゅんくんはクラスがちがうし・・・・。



3つのプレゼントをみながら


ぼくは けっこうしんけんに そんなことをかんがえた。



ぼくたちはもうすぐ2年生になる。


学校の休みがおわったらもう2年生なんだ。



ホワイトデーにできた3つのひみつ・・・。



ともだちにひみつわつくってしまったぼくは


すこしおとなになったってことなのかな。



つくえにならんだ3つのおかしと


ぼくの3つのひみつ。



3つのおかしをみながら


2年生になっても


まーくんと


さとちゃんと


たくさんあそびたいな。


じゅんくんとももっとなかよくなれるといいな・・・・って


ぼくはおもった。

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でいず @moriko203

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