第18話 セクシー美少女とニート少年

「うるさいぞっお前たち! いま何時だと思ってるんだっ!」


 騒いでたレーネたちより甲高かんだかい、けどつややかな声が降ってきた。


 ほど近い大木たいぼく。その枝に立つ、髪も瞳も服も、真っ赤な美少女。人間なら13歳くらいの童顔なのに露出が多く、


「ホントに、セクシーだな……」

「ロアンのロリコンっ」

「ちょっまっ、」


 レーネの誤解をとく間もなく、


「いえ、あの胸の大きさ。やっぱりロアンさまは”ロリおっぱいコン”ですっ!」

「「ちょっとぉ!?」」


 オレとセクシー美少女の、抗議が重なる。タトラは生真面目きまじめすぎて暴走するから、一度いってあげた方がいいかなとは思ってたんだよ。


「早朝から騒いで、注意されたらセクハラなんて……っ!」


 うんうん、この際もっと言ってあげてよセクシー美少女ちゃn、


「サイテーな男だぞっ!」

「なんでオレっ!?」


 ちゃんと鳴いたきじを撃ってくださいっ?


「まあ、ロアンさまもセクシーと卑猥ひわいなことを言われましたし」

「サウス・エンペラー・フェニックス・ユース(South Emperor phoeniX Youth)、略してSEXYセクシー! 南帝の鳳雛ほうすう、ってかラクシャは言霊がわかるよねっ?」


「言霊より前に、頭文字をとったらSEPYセピー? です。どうしてセクシーと略すのですか?」

「そんなことオレに言われてもっ? 犬の芸をチンチンと言う的なっ!?」


 教えて名付けたエロい人っ!


「下手な言い訳までして情けない男だぞ」

「なっ!」


 木の枝から、セクシー少女がスッと降り、タトラの語気がスッとあがった。あれれ、タトラってこんな短気でしたっけ? なんて思う間に、


「やめなよホゥ、悪い人間だったらどうるんだよぅ」

「違うぞマモ、悪いやつだから懲らしめるんだぞっ」


 大木に隠れてたニートの少年が、セクシー少女をなだめ一蹴される。ニートはマモ、セクシーはホゥという名前らしい。2人とも人型ひとがたなのはオレたちにあわせてくれている、のかな?


 ともあれ、見た目だけは可愛い美少女に振り回される、なんて可哀想なマモ少年、共感シンパシーしかないよっ。彼と男2人で頑張れば、


「まあ、立派な殿方とのがたですね。女性や木の陰に隠れて泣き言なんて、わたしなら恥ずかしくて死んじゃいます」

「マモは優しいだけだっ、馬鹿にすると許さないぞっ!」

「そっちこそ、ロアンさまを馬鹿にしたら許しませんよっ!」


 タトラやホゥ、物騒な女の子たちに振り回されても、


「なら決闘だっ、もう泣いても許さないぞっ!」

「いいですよ、望むところです!」


 平和を築けると信じて、


「いや、そんな出会ってすぐ戦わなくても……」

「ロアンさま……何か、おっしゃいましたか?」


 タトラが虫も殺さない笑顔で、殺気をまとう。超怖いんですけどっ。その魔人形どうなってるの? とラクシャを問い詰めたいところだけども……。


 頼れる兄貴分を見るようなマモの視線に、さすがのオレも覚悟を決めた。種族は違うけど、少年にお手本を示すのが大人の役目だっ! マモ少年、オレの生きざまを見届けてくれ……っ。



怪我しないよう気をつけてねっ!」


 誰にも角が立たないように主張を通す、これが大人の精一杯だっ。あとは君に託したぞ、マモ少年っ!


「ふん、怪我なんてする訳ないぞ。マモ、盾になるのだ」


 動かない悟った目の少年は、ホゥの左手で盾となる。六角形の、素晴らしい甲羅の盾に。


「よし、サービスだ。アタシは動かないから思いっきり打ってこい。マモの凄さをみせてやるぞっ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最強チートか美少女ハーレム、どっちがいい? 両方だ!と言えるくらいが丁度いい!(願望) 半濁天゜ @newx4

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ