第4章 その2 結

 まだまだ熱を帯びる空から、イデアと、その肩に乗るプラトンは、二人を見つめていた。

「しかし、晶雄がやったことはもうほとんど魔術だぞ」

 プラトンが首を傾げている。未熟とはいえ専門的に習っているイデアができなかった人体模型の無力化と意識の回復化を人間がやりおうせたのだ。

「私、何か晶雄さんにしましたかね?」

 打撃をくらわし腰痛にした以外のことはないはずだが。

「ん? イデア。お主が晶雄に食わせたリンゴだが、ちゃんとした処方で仕上げただろうな」

「はい。それはもちろん……」

 言って何かを思い出したようである。

「大丈夫……ですよ! 晶雄さん、元気そうですから!」

 完全に勢いに任せているだけだ。

「はあ。まあ、ニックネームが本物の魔法使いになったと思えば……いや、監視し続けて何かあったら止めないと……。今は戻るぞ、イデア」

「はい。ゴーです」

交差状に肩にかけた虫篭にはⅩが大人しくしていた。その虫篭の表面には名前なのだろうか、文字が書かれてあった。「虚心」と。

ちょうど陸上競技場から出て来た晶雄と小林陽子の姿を、満足そうな笑みを浮かべて見届けると、どこか遠くへ飛んで行った。

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4Ⅱ 金子ふみよ @fmy-knk_03_21

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