人が失くしたものが流れつく、「失せものの河」。そこの守り主である魔女は、ひとりのこどもを拾います。流れてくる失せものは、物に限らず、生き物だっています。他ならぬこどももまた、失せものです。失せものを取りもどさない限り、こどもを失くした誰かがまだ迎えにこない限り、外の世界に出ることはできません。だけどそれを不幸と見るかどうか、決めるのはこども自身です。魔女と暮らし、様々な失せものを見ることになるこどもは、そこで何を思うのでしょう。
心無い大人達に酷い目に遭わされたこどもは、一人の魔女に拾われる。魔女は名前の無いこどもの事を『こども』と呼んで、こどもは魔女の事を『魔女』と呼びながら、暮らしていく二人。出会いと別れを繰り返しながら、魔女はこどもに色んな事を教えていきます。全体的に、切ない雰囲気の漂う本作。名前を必要とせず、お互いの事を『こども』、『魔女』と呼び合う二人。その呼び方は一見無機質で冷たい印象を受けがちですけど、こどもと魔女の間には確かな絆があるように思えました。