餓鬼の家

安良巻祐介

 骨身の檻を作ってそこに一人で住んでいた老爺は、ある日檻の中で食を断ち、檻の柱を歯で齧りながら五日目に息絶えた。気が変になっているとばかり言われていたが、死後に骸の下から見つかった手記を読むと、最初から最後まで正気且つ理知的であったことが知れて、こんなに恐ろしいことはないと皆囁き合ったのである。

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餓鬼の家 安良巻祐介 @aramaki88

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