仮面を売る店

安良巻祐介

 金の仮面も銀の仮面もあがなわれて、残るは泥の仮面のみとなり、露店もあかあかと終い間際のセール宣伝をしたが、客は一向集まらず、台の上で崩れた貌を曝す泥の仮面がただ、アセチレン・ランプの光に乾いてゆくばかり。しかし同情を抱きながら店の前に立つならば、陰影のついた泥の顔は、必ずお前にとって見たくもないものの顔となって笑っているだろう。

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仮面を売る店 安良巻祐介 @aramaki88

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