第17話〈式神召喚〉
俺が作ったゲーム『現代退魔奇譚』シリーズには術師の強さを表す等級號と言うものがある。
それは、高ければ高い程にその実力を示すもの。
詳しく説明すれば、こういう事になる。
第壱等位〈
・流力を用いた単純な身体能力を行使出来る者を指す。
・術師としての最低限領域でありこれが出来なければ術師を名乗る事は許されない。
第弐等位〈
・流力に術理を乗せて操る事が出来る者を指す。
第参等位〈
・流力から疑似的な生命を創造し、自身の補助、代理演算、または術理の拡張存在として認定された式神を創る事が出来る者を指す。
第肆等位〈
・流力を天地に流出、拡散する事で指定範囲内の支配権を得る事が出来る者を指す。
・支配権を得た術師は流力に術理を乗せて空間の法則を書き換える事が可能となる。
最上等位〈
・術理の神髄を知覚し体現した者を指す。
・神號に到達した者とそうでない者とでは天と地ほどの実力の差がある。
・具体的に言えば如何なる術理の相性や強弱があろうとも神髄を得た側の術理効果が優先される。また神號に到達した術師を崇拝する者に対しての術理加護を授ける事も可能となる。
・肉体の性能も強度も人間の枠から外れた超越者となり、第壱等位では傷を付ける事も不可能となる。
・神號と競り合う事が出来るのは同じ神髄を体現する神號のみである。
この内容から、奴らは『白夜行』の連中は厳しく見れば第弐等位レベルの〈
式神を扱うから〈隷號〉と思うだろうが、アレは結界で封じ込めていただけで調伏はされていない。だから一度結界を開放すれば、自身も狙われてしまうという自爆技に過ぎない。
「教えてやるよ、格の差を」
……あー、このセリフ、一度言ってみたかった。
現実じゃ言える機会が無いから、第一作目の主人公・鍛冶塚鋭純に言わせたんだっけ。
主人公のセリフ、とっちまったけど、別に良いか、このセリフは元を正せば俺が考えたものだしよ。
「馬鹿な、こんな子供が隷號だとッ」
顕號は基本的に術理を通して能力を発揮する能力に過ぎない。自らの術理の解釈を行い、それを拡張する事で、新たな能力の段階へ至る。術式の更に上、それは自らの術理が乗る化身、または、式神を形成する事。
基本的に式神を召喚する場合、膨大な流力を消費しなければならない。
だが、俺には〈贄饌〉によって蓄えた養分がある。それを消化すれば、式神を召喚する為の流力を垂れ流しにするくらいワケないんだ。
「〈
流れ出す流力がジュグジュグと腐った黒の色と化す。流力の沼が展開されると、其処から蒼褪めた死体の様な肉体をした手足が衰退し、腹部が肥大化した骨と皮だけの顔を持つ餓鬼が出てくる。
「――ふ、はは」
その小さな式神を見て『白夜行』の一人が笑った。
「なんだ、その矮小な式神は、やはり、子供だからこそ、その程度の式神しか作れない様だな」
そう笑う。俺もそれに合わせる様に笑ってみせた。
「ははは、あぁ、そうだな。俺もそう思う、一体だけならな」
一体。その言葉に、野郎どもは狼狽した。
そうさ。誰も、俺の式神が一体だけなんて、言って無いんだよ。
流力の泥から生まれだす餓鬼。それはまるで蜘蛛の卵から割れ出した赤ん坊がワラワラと出てくる様に、大勢の餓鬼が絶え間なく生まれ続ける。
「喰らい尽くせ、骨の髄まで」
俺はそう命令した。嬉々として、〈飢殖坊群〉が周りの禍物や、『白夜行』に群がり始める。
同人エロゲ作者が自分の作品に転生~サークルの先輩にシナリオ改悪されて原作者も知らないヒロインが出てくるんですけど~ 三流木青二斎無一門 @itisyou
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