指数関数的増加

君との記憶が記憶を呼ぶ

連鎖する核分裂のように熱を生み

ふつふつと心を蒸発させる

膨大なエネルギーのほとんどは空に消えるのに

肝心の君はここにいない


不在を許容して自分の悲しみを許してあげて

うつろな世界にあらためて線を取り戻すために

今日もいたずらに筆を取る

時に筆を折る

言葉は記憶を歪めるレンズだから

捨てて見てという君は

裸眼で見たって歪んでいたんだ


増える記憶

あるはずのない記憶

朝のコーヒーとゆれる湯気

向かいに座る君に問う

朝ごはんを食べますか?



朝ごはんを食べますか?

朝ごはんを食べますか?


あるはずのない記憶が膨らむ

あるはずのない悲哀が膨らむ

だらだら続く

指数関数的増加に押しつぶされて


いつか無になることを僕は

なんとなく望んでいたのだ

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