言い訳ばかりの空の色から

雨が降るのは悲しいからと

涙の言い訳として誰かが使った比喩

悔いと迷いがうろうろ虚ろに去来して

晴れた空では澄んだ感情だけが許されるはずだと

冬を恨んだ君はどこに消えたのだろうか


散る花の色があまりに鮮やかで

持ち帰ったばかりなのにすでにくすみ

水に浮かべた嘘は揺れながら

明日を羨み

あるはずのない未来ばかりを夢想しながら

ほら綺麗でしょって君は笑った


はなから諦めていた夢の色は

いつまでも薄いままで

君がいなくなった日の空を真似て

透明に憧れている


純粋な心だけが死んでいく

沈んだ色のコンクリートの冷たいかたまり

どんな動物よりもはやく走る

無機質な金属の箱に運ばれる僕の見る窓の外には

永遠を約束された家々の屋根がつらなり

誰かの未来を約束している


僕と君にだけは許されなかった憧れだけが

光のなかで傷ひとつなく空を反射して

輝くことを許された透明さで

満たしてくれるなんて

そんな夢だけが僕の最後のなぐさめ


傷つかないなんて嘘ももういらない空の色

銀色の雲から落ちる真珠の数をかぞえる

君のいない川辺に立って

君を待って

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