終末の準備のために

予言をおそれた世紀末のささやかな動揺を心地よく流れる死への恐怖を克服したとかいう嘘を胸におさめて怖いといってみてもそれも嘘なんでしょう。

望むもののなかになにか綺麗なものがあるのだろうかと君が掻き混ぜた僕の未来は永遠の青のなかを覗いて手を伸ばしてやがて薄れる君の影にすがりながらいつまでもいつまでもいつまでもという言葉を吐いて泣いてもうすぐおしまいだから光を浴びて歩くと春から近づいてくる季節の錯誤にかどわかされて消えた桜のはかなさなんて興味なかったなんてつまらない嘘ばかりでそれこそ終わりにして欲しかったのに。

子供たちの笑い声が遠くから聞こえて明日も変わらないという確信が僕を傷つけて雪が溶けて風にかすかな梅の香りを感じて春をそろそろ拒むこともできない僕は袖を振って乾かし朝を迎えに東へ向かった。


終わりの足音は雪のせいで聞こえないのか。


僕と君の不一致だけが僕と君との意味だという存在の不都合を互いの理解に変えられなかった後悔なんてクソ喰らえって笑えないままの僕の惨めを笑ってくれる人を見つけられたなら。


君はどうする?


靴紐が抜けたような不安がいつまでも夜に安住して怖いこわいと泣いて拒んで抗う勇気を奪うのならば嘘でもいいから僕は僕を笑って君が描いた絵のあの白いアクリル絵の具の伸び蔓延るような生命力を吸って奪って空へとひたすらに枝をひろげるのだ。もう君が、いなくならなくても良いように。

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