散る葉あかく鮮やかな記憶
赤い電波塔を目指し歩く君とぼくの見上げたビルは秋の空を映して濃く深く、等間隔に並ぶ銀杏の葉の色をより鮮やかに見せるための背景のように、まだ誰も知らない静かな淵へと僕らをいざなう。
乾いた空の匂いは終わりの始まりだとか宣う君の過去への遡行にはいつも微かな熱が伴う。
濡れた手のひら。
風が吹いて君を巻いて高い空を雲は駆ける。
おやつのみかんの皮を剥いだあらわになった内側のつぶつぶ。
生命のような果肉のなまなましさが君と僕との明日をうやむやにする。
甘い。酸っぱい。あたりかはずれか。
君はまだ歩く。僕と歩く。一面の錦の上でいつか散る命を思いながら。
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