だから走って

言葉と対の意味のイメージの

錯誤に浸る僕をゆるせと君に祈る

夜に空からふる雪あつめ

作ったかたまりは

朝には淡い夢に溶ける


自由のはずの君が泣いた

獣みたいな声で喚いた

見えるものだけ信じて

過ぎ去る快楽だけ求め

なにも残らない虚しさを恨み

空虚を君の不在のせいにして

愛のユウウツを語り喪失を嘆くのだ


ほら

君だけが

恋をするには

人生は短すぎると

速く駆けた



空白がある

今日は昨日を模倣し

明日に転写される



手紙に書いた未来と異なる

白に重ねる色を持たずに

精緻かつ繊細な線があやなす

蠱惑的な絵画のような雅ないざないに

歩みを緩めて重みに自らの身を任せる


濁る海のような青緑の拘泥を抱えながら

地中で沈思黙考する愚者の群れに紛れて眠る

小さな鉄の箱で見る息もできないくらい

窮屈な夢のなかにすらも僕は

まだまだまだまだまだまだ明日を

君を見つけられずに永遠をめぐる


ほら

君だけが

生きるには

寿命は長すぎると

速く欠けた

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