揺れる火と命と大気のゆらぎと

雲の浮かぶ空に光る土星は揺れながら誘い

低いフォーマルハウトは夜が深まるのを待ち

木星は大きなオレンジ色の光をとろとろこぼしている

秋の夜空に君はいないと知って

もう手を伸ばすのもやめてしまった


終わりは思ったよりも静かに沈んでいく

水音のように澄んだ秋のなかに

真昼の喧騒を閉じ込めてしまう夜の星々

秋の夜空はとても寂しくてさみしくて

まばらな雲の隙から見下ろしているはずの

星座のつながりをも失われてしまう


だから秋を呪い

だから冬を恐れ

二度と会うことのない君に

君を忘れていいかと尋ねる


冷たい風が夜に吹いて

終わりが近いと感じた

喉の渇きは薬のせいだと言い訳したつもりなのに

もう眠くもなくなったのだ

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