小さな惑星の子供

籠る熱は吐き出しても尽きることがなく愛だと勘違いできれば楽だったのに。手にしたペンを運命のいたずらに委ねて踊る。まだまだ溢れてくる赤に情熱という名前をつけた。雨は青いと君がいった日から濡れることも汚れることも怖くなくなった。君が黄色を語るときはつねに夏の太陽を連れてきたせいで終わらない夜が訪れた。一日に二度、西と東が赤紫の薄明に包まれるだけの僕の場所からただ君が失われただけなのに。氷は雨だった過去と雨になる未来を耐え難く思って青い光を、とうめいでつめたいからだに隠そうとしているという。雨や星や太陽の近くにいる君はいつも僕からだけは遠かった。氷の青い光を透かしてみても過去は見えない。太古の気泡を内に秘めているというのに、過去は見えない。君はいつも僕からだけは遠かった。空から垂れる膜のような夜が破けて朝が空にこぼれだした。悲しみに浸ることも許さぬように星は巡り僕は惑う。君のいないこの小さな惑星、僕は子供。

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