過去を否定しても未来は光らないのね、なんて泣く君は僕より惨めだったのだろうか

生の直線上の先に死があると自らを諭すのは

経験による帰納的推論を

論理の礎に据えて生きた代償だと

君は僕を腐す

ロジックの限界を知らないのね

なんて笑ってみても

靴下のかわいらしい柄が子供染みて

説得力に欠ける君の普遍性


そうして大人は笑う

と笑う君の方が大人だろうか

満点のテスト用紙を紙飛行機にして

ベランダから飛ばした

屋上に出られないのはどうしてかしらと

死ならここからでも近いのに

なんて素敵なセリフを吐く嘯く


空に潜む自由と孤独に抗いながらも魅了され

煩悶した青春時代のたおやかな僕らの鬱屈

君が君でいることを拒み

僕が僕でいることを諦め

馬鹿みたいに学校の教室の教師のを

すべてに火を灯して

寒い日の慰めにしてみた冬の日の

芯まで凍る冷たさ


孤独を笑うな

自分を笑うな

勇気を笑うな

笑いが燃やす卑しいすべてを捨てる勇気をもって死ね

死ぬな

遠ざかる黄緑の風のなかで揺れる新緑の逞しさを

忘れず背負って自由になることを拒むな


蔑ろにされた僕らの人生は

嫉妬と絶望のちょうどはざまで

揺れながら小さく輝くかもしれない

かもしれないだけの

命を人生を

透明な空にとかして生きてしますのだろうか


なんてね

君はもうここにはいない

頭が冴えた朝に見る

湖の水にうかぶ朝の太陽の輝きのように

激しいのに曖昧で弱く

白くなる記憶は

いつか音楽になればいいのに


草の表面を撫でる風の柔らかさに微笑し

感謝しながら

僕は仰向けに眠りたいのだ

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