笑う君は綺麗だった

高い梢からさすほのかな木漏れ日から

逃れるようにゆらゆら歩く

可愛いに消費し尽くされた君の

疲れ切った横顔は綺麗だった


ノエシスとノエマ

シニフィアンとシニフィエ

意味を彩る綾のなかで君は踊る

生きた意味などなかったと

滂沱の涙に袖を濡らした先達を笑う

かれることのない君への嫉妬が

君を殺すことになるとも知らずに


黎明の空のほのかなピンクが飲み込む

物憂い夜の記憶も

容易く値段がつけられるから

買えない愛などないと嘯く

切り売りされた君の肉体

胸がすくような清々しい朝に

君だけが嫌悪感をあらわに笑う


速すぎる星と時と

遠ざかる夜と過去

空ばかり見てるから転ぶのだと

君への憧憬を隠すように不平を漏らした

僕の言葉は届かなかった


空から見る朝は

あの朝よりも綺麗だろうか

孤独の歌声が降る季節に

鈍色の空の向こうを想像してみる

水簸によって薄くなったラピスラズリ青のように

君は透明な笑みを浮かべているんだろう

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