美しいものだけ愛した君は君を愛せなかった
君は空に裏切られた
西の沈む太陽と
東から覆う藍の深さが
境界もなく淡く混ざり合う
美しさこそが
君と僕とが永遠ではない証だった
分厚い本を片手に通う学校
正門に立つ模範
頼りない線で書いたスケッチのように
哀切に満ちた微笑を貼り付け
健康的な生徒を演じている
美しさなどそこにはなかった
風の鳴らす葉擦れの耳の心地よさ
爽快な香りに君は目を細め
喜び以上の憎しみを胸いっぱいに吸い込んだ
過去を水曜日にすべて流して
虚栄心に溺れる愚者たちを笑う君こそが
一番の愚者だったのだ
欄干に結ばれたハンカチが風に揺れる
たまゆらの露も涙もとどまらず
君だったはずのH2Oですら
空蝉の世をせつなに過ぎ去る
絵具いっぱい満たしたパレットだけが鮮やかで
一度だってキャンバスに筆をのせないまま
一枚の絵も完成させないまま
美しさこそが君を殺したのです
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