このまま死ぬのって問う君の

波の音が聞きたかっただけ


夜の海の

波打ち際に立ち

足を濡らす

星が遠くの海面に反射して

明滅するのを期待した

黒い海が静かに静かに

君と僕を飲み込む


義憤に満ちた夢を生きる君は

欺瞞に満ちた現実を厭い

瞋恚の炎に焼かれ

飽和水蒸気量を超え

霞みたいに宙に浮いた


花が散ったと君は泣いた

夜が再び訪れることの

絶え難さから逃れるために

朝を拒み続けた君が

花が散ったと春の終わりに泣いた


まだなにもしてないのに


君の声は揺れていた

星のない夜の

遠くの海の不知火は

二人を照らさない

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