フクロウの森の闇から

フクロウの首がくるりとまわって

あたりを見守る神様なのだと

君が言うなら間違いないだろう

大きく広げた翼からはちらほら金銀散り落ちて

地面に積もらず溶けて消える

それもいつかの君の身体

雲になって雨になって

もうそこにはない輝きになって消えて

それが涙のかわりなのだと諦めた


揺れて落ちる秋の木の葉に

鹿の鳴き声のような寂しげな響きを聞いて

ほら深まったよ

と真紅に沈む君の心が見えた気がした

しょせん僕たちはいずれ死ぬ存在だからと

絶望の描き方すら知らない少年少女がニヒル気取りで

うららかな鳥の声を聞いた記憶だけが

まだ夏の余韻を連れて歩いて

光に消えろ闇はいらない夜は怖いと

死んだ人たちの叫びのなかに聞くうねり


やっぱり君はつねにそこにいる

羨ましいと心が病んで

冷たい夜が空を満たして

貫くような鋭い光だけが火のように君を燃やした

水風船を投げた夏祭りの夜は

また僕の頬を濡らす

なんども

終わることなく

なんどもなんども


君が嫉んで妬んで憧れた生命だけが

この世界で輝くことを許されたのではない

無機質な宝石たちが

星の命のかけらを浴びて

いきいきとその輝きを謳歌する

そこに君はいないから美しいといえる

宝石は美しい

そこに君はいないから

だから砕いてしまいたいのだ

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