シュウマツ読む本さがしてるんです

冒頭の言葉に惹きつけられた

潜める太古の石に触れたみたいな

文章の感触だけが心に残り

意味を捉えられないまま

音に飲まれて川底に沈んでいく

仰ぎみれば水面を無数の人々が過ぎていく

そんな

天網から漏れ出した悪の萌芽のような

光が嫌いだった


まるくなった鉛筆の芯から

こぼれ落ちた黒鉛が影を作り

後悔した太陽のはらわたを抉るかのような

どす黒い愛を語らう

夏の足音が聞こえる

けたたましいほどの因縁を孕む風に

諦めたように身を任せる君の無邪気は

神聖な好奇心に似てぶくぶく膨らみ

永遠と同じように際限なく体積を増して

探して傷んだって

そこには君が

軽くなって暗くなって

何度も言わなかった


僕のせいだって

泣いたんだ


さよならならは聞き飽きたから

夜でもおはようを言おうと提案して

森の奥に隠れてた意味が漏れ

掴んだ時にふと思い出した

誰もいない世界の冴え渡る空から

降るのは幾億もの星と命


その優しさで君を罵倒して

その優しさで君を束縛して

その優しさで君を監禁して

その優しさで君を拷問して


想像して


自分が生きていつか死ぬそんざいだと

ぞんざいになんて

扱わせないよ君の命を

ただ降るままに任せるなんて

ゆるさないから

重力がそういうなら

ニュートンには

もうさよならを言おう


違うよおはようだよって

君なら笑うだろうけど

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