灰色の運命に敗北した君の末路に

灰を吹いたような未来を恨んで

雪かきでもするかのように

小さな窓の桟のほこりを

いっかしょに集め

火をつけた


ほこりは鮮やかに燃えた


君の肩を濡らす雨を恨んで

空はかまわず君を濡らす

しののめに死んだ猫の声で


僕は目を覚ました

東に広がる銀色の大地に

一歩足を踏み出して

一切のこだわりを持たない君は

いつでも

空色風琴鳥のように飛んで

空に溶けてしまう

夢は軽く透明なまま


石榴石のような夕暮れが

西の空に滞って循環するのを

何度だって数えながら

空の向こうで死んだ子供たちを

祝福しながら

一番星を探した


循環はとまらない


とどまれない僕は今日も

光速近くで飛んで

鐘の音もとどかないほど

充足理由律を満たすのに慣れてしまった


沈黙するにはまだ早いと

猿轡をかまされて

それではもうしゃべれない

という言葉もしゃべれずに

ただ

よだれをだらだら

垂らして死ぬ猿みたいな


きみはどうぶつ

ぼくもどうぶつ


未明に積もった雪は

君の冬へのあこがれのせいだ

恋焦がれて待ち侘びた冬が来れば

きっと厭い

厭うていた夏が恋しく

ころころ移り気の君の心は

秋に吹く風のように

かわいてつめたくて

可愛い顔して空にほほえんだ


風に乗って

太陽に焼かれてしまえば

君もきっと星になる

にぎやかなあきにさとる


やがておとずれる君の死に

すでにおとずれた君の死に


そうして知ることになる

僕の死が重なり

昨日も今日も明日も

幾重にも死が重なる

無数の使者たちの列に加わるだけなら

僕は怖くない

天の使いになるだけなら僕は


怖くない

怖くない


言い聞かせる言葉が首に巻きつき

蛇のように冷たい


怖くない

怖くない


つぶらな瞳に僕は

変温動物の優しさを知った

ケラケラ笑う君は

ぶつぎりにした蛇の断面が

どれも似て

金太郎飴の原理原則に従っていると

川向こうの家に伝えにいくのだ


しはありふれていると

しはありふれていると

ありふれたしだと

こんなのありふれていると


蝙蝠傘を剥いで

骨だけになった白い

白い君は

ばらばらに土に撒かれて

永遠に僕を

呪い続けるのか

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る