綱渡りのしかた、君は、まだ忘れてないかな

水の匂いがするよといって

君が見上げた空を泳ぐ金魚が

居場所がないと嘆くから

星の数と砂の数を比べてみようと

夜の海を泳ぐ

深海に住むダイオウイカに意見を聞いた


罪を暴くに用いられる証左は

薄明のように淡く

悪とみなされ

罰せられた哀れな恋人たちの

哀惜の情だけが重くおもくなって泣いて

暗いくらい海の底まで

沈むことが許されるのだ

とか

如何でしょうかと

烏賊が宣う


退廃主義者の反理性的な暴力性は

自らの精神を蝕む

内省的干渉の末路を憂いて

浮く憂く

空に虚ろな空に君はうく


帰りたいと思った瞬間に海がある

もっと速く駆けて賭して

Relativitätstheorie

を越えて

いつからか僕らは中心から外れ

不安定な心の重心が淵にあるから

どうにもバランスが取れない

枯れない散らない桜のような

虚飾に満ちた傲慢さで

夜を飲み尽くす

深いふかいふかい

夜を飲み尽くす


死んだことなどまだ僕は

一度もないっていうのに

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